産経記事の針小棒大。

首相「脱原発」にイタリア人の影　ちらつく極左テロ組織＋（1/2ページ） - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110731/stt11073121180006-n2.htm

　針の大きさにして耳の穴にも隠せれば（しかし怖いねこれ）天に届く長さにもなるというのが孫悟空の如意棒ですが、針の大きさの話を長大な棒にしてしまうのが産経新聞村上智博記者の必殺技のようです。すげえや悟空の兄哥。
　例の、焼き肉・寿司・イタリアンのはしごの夜、最後にイタリア料理店にいたイタリア人記者は反原発運動で知られる人で、それから総理が脱原発に走ったとか、まずそこからして怪しげです。3cmの針が武闘用の2mの棒になっていそうな気がします。続いて、実はその記者は、イタリアの極左組織・赤い旅団とつながりがあるのだと来ます。その根拠はというと、赤い旅団の弁護士を務めたという風聞からで、いよいよ如意棒が天に届きそうな勢いですね。しかしこれは、本人があっさり否定しているそうです。本人が言うんだからこんな確実なことはない、とまず考えるべきで、ここでウソをついていると思うんだったら、イタリアの裁判記録を調べればはっきりすることです。なぜそんな、取材の基本もやらずにこんな記事を書くのでしょう。え、産経にはイタリア支局がない？　そんなことは知りません。固有名詞をチェックするだけですから、イタリア語を知らなくても不可能ではないはずです（ラテン語とほとんど同じ、フランス語などのルーツなので、少し知識があれば固有名詞を追いかけてざっと読むことは難しくありません）。現地に飛ぶぐらいのことはしてもいいのではないでしょうか。この時代ですからネットで検索できるかもしれないし、それなら翻訳サイトも援用できます。いや、イタリア語の文献で問題の記者と赤い旅団のつながりを示すものがないかだって、検索することはできるでしょう。ちなみに'"Pio d'Emilia" "Red Brigade"'で簡単にぐぐっても、噂以上のソースは見つかりませんでした。切り方を変えるとウォールストリート・ジャーナルの記事が引っかかってくるのですが、極左テロリスト弁護人の文章をWSJが引用しますかね。
　記事の後半は例によって、菅首相と極左、特に北朝鮮とのつながりがこんなにある、辛光洙容疑者釈放署名がうんたらというもので、読む価値もありません。あーあ、やっちゃったね悟空の兄哥。