黙然日記(廃墟)

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産経抄は気がしてならない。他。

産経抄】7月27日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110727/plc11072703020004-n1.htm

 中国の鉄道事故について、二日連続です。まあ、連日おかしなことをする中国当局も問題あるのですが、「産経抄」のナチュラルハイは継続中のようです。
 いくら日本でも、鉄道事故の《現場保存》を1週間も2週間もやりません。鉄道・交通事故なら実況見分は最低限にして運行再開が優先で、何週間もかけるのは「証拠保全」です。また、一党独裁の国だから現場の混乱がない、という理屈もわかりません。上野顔色を窺うから現場が混乱する事例の方が、福島第一事故の初期をはじめとしていくらでもあります。中国の事故でも政権内部で批判があった可能性には言及しているので、現場の混乱をないものとする考えが本当にわかりません。なんとなく書いてみたかったから書いちゃったのでしょうか。
 産経の反中国コラムは、反中国の立場にある人たちの一部には評判がいいので(内輪受けとも言います)、それならそれで通せばいいものを、最後の最後に《菅直人政権もそれに似てきたような気がしてならない》という一文を付け足すのも、なにがやりたかったのかわかりません。政権の末期症状では現場と上の乖離が激しくなったり、余計な一言を付け加えて積み上げてきたものを台無しにしたりするものですが、「産経抄」もそれに似てきてたような気がしてならない。

【正論】初代内閣安全保障室長・佐々淳行 菅首相退陣に言論界立ち上がれ+(1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110727/plc11072703070005-n1.htm

 肩書きだけで笑える人というのは、そうはいません。佐々初代の登場です。60年安保当時の7社共同社説が岸信介首相を退陣に追い込んだ、いまこそ再びの協働社説で菅直人首相を退陣に……。いやもう笑い事じゃなくて、どうしてこういう発想をできるのか、不思議です。国会周辺の流血事件という異常事態を受け、議会制民主主義維持への真なる危機意識が生み出した7社共同社説と、たかだか政争の一局面に過ぎない菅首相退陣を、どうして同等のものだと思えるのか、この人の「危機」に対する管理意識はいったいどうなっているのか、と思います。7社共同社説が首相退陣を求めなかった、一方の政治的立場をとらず民主主義の維持だけを訴えたことが、各社の協調を生み歴史的言説となったことを、自分で述べたその口がいきなり首相退陣を求めるのですから、もう自分がなにを言っているのかわかっていないのだと考えるしかありません。
 こうした人にいつまでもコラムを発表させる産経新聞の、危機管理意識が問われるところです(佐々氏に限りませんが)。