黙然日記(廃墟)

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産経抄の世界国家観。

産経抄】7月20日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110720/plc11072002480001-n1.htm

 んーと。なんだかよくわからないのですが、ナショナリズムを煽る分離主義者といったところですか? 
 昨日に引き続いて、スポーツで国が一体だ、しかし政治や経済はバラバラだ、みんな首相が悪い、……。政治をバラバラにしているのは、政権を非難して協力を拒絶している側ではないのですか? 抄子は忘れているようですが、今も日本は未曾有の国難の中にあるのですよ。
 南スーダンが独立(おめでとうございます)したから世界政府は遠のいた、左翼の理想ざまぁみろ、みたいなことも言いたげですが、このへんも少し検証してみましょう。まず、新しい国が独立国として認められるためには国連加盟が条件になることは、言うまでもない常識でしょう。あと五輪参加ですね。国連、現在の国際連合は連合国の名残でもありますが、第二次世界大戦前の国際連盟を引き継いだ組織でもあります。国際連盟やオリンピック運動は、二十世紀初頭に興隆した世界連邦論への第一歩として位置づけられた存在です。国連と五輪が現在でも国家独立の必須条件である限り、世界連邦という理想論はついえたとは言えないでしょう。
 世界連邦がサヨクではない左翼、古い共産主義の思想だという一部保守の指摘は、必ずしも間違っていません。あまり詳しくないし調べるのも面倒なので適当に書きますが、レーニン主義あたりから、おそらく先述の世界連邦論の影響もあって、ソビエト(=議会制)社会主義を各国が採用し、それぞれが自らの石で連邦に参加することで最終的にはソビエト連邦が世界連邦になる、といったことを考えていたようです。そのために活動したのがコミンテルンですが、「コミンテルンの陰謀」が現在では冗談のネタにしかならないように、第二次大戦後にはすっかり放棄された考え方です。また、もともと世界連邦という考え方があって、その一部にレーニン主義的世界連邦があるので、世界連邦を言い出せばレーニン主義者だとは言えません。また、広義のサヨクであるとも言い難い気がします。「連邦」というだけで左翼と直結して考える自称保守の人たちは、アメリカ合州国という連邦国家の存在を、どう考えているのでしょうか。