黙然日記(廃墟)

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産経「主張」の責任逃れ。

【主張】人権救済機関 言論統制の恐れ変わらず+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110610/stt11061003360003-n1.htm
自公政権が提出を試みた人権擁護法案に歩み寄った内容だ。しかし、言論・表現の自由を侵害しかねない重大な危険性をはらんでいることに変わりはない。

 引用部は、まるで自公案にはなにひとつ問題がなく、民主党案だけが問題だらけであるかのようなミスリードですね。後半でも、旧法案の問題点を指摘するところでは《自公政権時代の平成14年、法務省が示した人権擁護法案》と、同じ文章の中で同じ法案についての表現を矛盾させてまで、自公の提案ではないかのように表現しています。そこまで公明党に忠誠を誓っているのですか(違)。
 また、産経やその他が外国人地方参政権に反対するのは、一歩も二歩も譲って、まだわかるとしても、自治人権委員会に外国人が入ることの何が問題なのか、ちょっとわたしの常識からは測りかねます。“ヘイトスピーチの自由”を最大限に確保したいのなら別ですが。
 で、まあ、人権救済法案ですが。「主張」は人権問題といえば拉致問題しかないかのような書き方ですが、もちろんそんなことはありません。たとえば障碍者に対する虐待を緊急避難的に救済するためには、児童虐待防止法や高齢者虐待防止法と同じ仕組みが必要であることは、言うまでもありません。少なくとも、この部分に関しては絶対に必要です。その次の段階、「言葉の暴力」をいかになくすかに関しては、わたしとしては悩むところもあるのですが、"ヘイトスピーチの自由”を認めない立場からは、この産経「主張」の態度はとれないだろうと思います。言論への制限を最小限にとる立場からも、この「主張」の例示がおかしなものなので、(ごく一部の人間以外には)説得力がありません。何度読み返し笑み手も、どうも、言論の自由を真剣に考えていると硫黄より、党派性に基づいて民主党案への反対のための反対をしているようにしか見えないわけですが。