黙然日記(廃墟)

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産経「正論」「主張」のユニークさ。

家族や国家重視する憲法解釈を - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/505227/
【正論】日本大学教授・百地章 家族や国家重視する憲法解釈を - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110503/plc11050302210006-n1.htm

 憲法記念日ということで、外国人地方参政権に関するユニークな(唯一的な)憲法解釈で有名な百地章日本大学教授が、またまたユニークな論を展開しています。
 憲法民法は戦後、セットで改正されました(刑法は当時ほぼ手つかず)。その眼目は家制度の否定、個人主義の採用です。そこに不満があり「改憲せよ」というならまだわかりますが、「明確に示された理念を無視して解釈せよ」というのは、あまりにひどい言いぐさです。……ということを、なぜ憲法学の教授に向かってド素人が説教せねばならないのでしょうか。

《国家なくして個人も人権も存在し得ない》はそのとおりなのかもしれませんが、それは、「国家が人権を保障する」という前提において成り立ちます。
 東日本大震災によって、家族の絆が大切であることはあらためて確認されました。しかし、それは確認されたというだけの話で、そこにはなんの対立もありませんし、法律も関わってきません。問われているのは個人の人権と公共の福祉の関係であり、家族は関係ありません。こういうのをどさくさ紛れと言います。


憲法施行64年 非常時対処の不備を正せ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/505258/
【主張】憲法施行64年 非常時対処の不備を正せ - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110503/plc11050302220007-n1.htm

 まず驚いたのが、震災に対するこの「主張」の認識です。考えられないほどの犠牲者が生じたのは、《国家が国民の生命・財産を守る責務を果たしていないことをみせつけた》のだそうです。国家が責務を果たしていれば、こんな悲劇は生じなかったのだということでしょうか。何者だよ国家。
 
 百地氏も「主張」も、言っている内容はほぼ共通していて、緊急事態には人権を無視できるようにせよ、現在は個人の人権が重視されすぎだ、という論調です。震災時にデマを飛ばしまくった産経なんか、真っ先に発行停止でしょうね。