黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経野口記者の一省。

【軍事情勢】「零省」の国防白書を出す国 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/china/502849/

 おなじみ、野口裕之記者の【軍事情勢】ですけどね。今週は中国の話。最近まともにチェックしていませんでしたが、そういえば、リビア情勢とかコートジボワール情勢の話ってしてたんだろうか。
 江田島兵学校といえば塾長を思い出しますが、その「五省」が現代中国の国防白書には通用しない、という話です。PC-9801のアプリケーションをMacで動かすには、みたいな話でしょうか。野口記者による中国批判は、当たっているところもあるかもしれません。当たっていないところもかなりあるでしょうが、まあそれはいいのです。
 「五省」は文字通り、5種類の反省を並べたものです。それが《零省》というのなら、この項目も当てはまらない、その項目も、と並べねばなりません。ところが野口記者は、「至誠に悖る」「言行に恥ずる」の2点しか指摘していません。「至誠」も「恥ずる」も主観的なところがある、まさに自省なので、他人が指摘してもしかたないと思うのですが、まあいいでしょう。しかし、残り3点はどうなっているのでしょうか。「気力に缺くる」「努力に憾み」「不精に亘る」、いずれも軍人としては恥じるべきことでしょうが、人民解放軍にこれらの問題があるのかないのか、野口記者はまったく指摘していません。わたしの見たところでは、人民解放軍にこれらの欠点は見あたらず、また野口記者の観点からもおそらくは十二分にみたされているのではないでしょうか。ならば、これは「三省しか満たしていない」と言うべきで、見出しの「零省」はまったくの羊頭狗肉と言わざるをえません。
 言語感覚も相変わらずひどくて、《大日本帝國》を旧字で辞書登録してあるのはあいかわらずとして、《氣力》を旧字で引用しているのが意味不明です。もしかしたら、「五省」の文面のどれが旧字体でどれが現在も通用する文字なのか、わかっていないのではないでしょうか(まさか「氣」=「気」だということまでわからないとは思えませんが)。《恥づる》も旧仮名のまま引用し、しかも何度も繰り返しています。これも新仮名で「恥ずる」と書くことがわからないのかもしれません。これは、言葉を生きたものとして理解するのではなく、理解できないまま切り取ればいいのだと思っている者の文章です。
 野口記者に質問したいのですが、他はともかく、「言行に恥ずる」ところはありませんか?