黙然日記(廃墟)

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産経記者、タブーを犯す。他。

「独善」「場当たり」の首相 大震災に現れたヒトラーの亡霊+(1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110327/stt11032713150001-n1.htm

 ギレン・ザビかよ。
 見出しにタグが打たれていないんですが、連載コラム【軍事情勢】ですよねこれ? おなじみ、野口裕之九州総局長ですこないだ野口記者を「軍オタ」と書いたら叱られてしまったので、「オタ未満」とでもしておきます。オタ未満らしく、全体の半分近くを費やしてマジノ線突破の電撃作戦についてだらだらと解説しているのですが、本題と全然関係ありません。さすが未満。
 気に入らない指導者を「あいつはヒトラーだ」と決めつけるネガティブキャンペーンは、この60年ほど広く使われている手法です(その前はたぶん「ナポレオンだ」でした)。わたしも使ったことがあるので大きなことは言えませんが、この手法ではとにかくなんでもいいから対象の人物とヒトラーの共通点を探すことになります。野口記者はそれを、コンプレックス(おそらく「劣等感」の意味)に見いだしたようです。しかし、学歴コンプレックスをあらわにしたヒトラーと、東工大卒業のエリートコースを経た菅直人氏に、どういう共通点があるのかは説明されていません。首相としての菅氏には、残念ながら、ヒトラーの電撃作戦のような成功体験もありません。
 共通点らしきものの指摘は、国家社会主義によるバラマキ政策ぐらいですが、落ちに使うだけでまともな比較はされていません。できないのかもしれませんが。国家社会主義あるいは社会主義的なバラマキと修正資本主義的なバラマキではその意味合いが違い、そもそも菅首相小沢一郎代表時代のバラマキ政策を否定したがっているのは周知なので、まともに比較したら共通点でもなんでもないことがあっという間にバレてしまうのでしょう。
 何かに怯えるような晩年のヒトラーの表情と、現在の菅首相の《脅え顔》が重なるとか言われても千年に一度の天災と人類史上3度目の災害*1が同時におそってきたとき、緊張し恐怖を感じない為政者の方が、よほど当てになりません。ニタニタ笑っていればいいのでしょうか(震災前の菅氏のイメージは、どっちかというとそんな感じでしたが)。ヒトラーは《陰鬱》で菅首相が《脅え顔》という表現のしかたも、どうかと思いますし。
 最近の阿比留瑠比記者らによる一連の記事もそうですが、軍オタ未満な野口記者は、「作戦中のリーダー批判はタブー」という、軍事常識の基本中の基本も知らないようです。軍事っていうか一般常識ですけどね、これは。

東日本大震災】「これが現実だよ…」 国会議員にも襲った大震災の悲劇+(1/4ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110327/stt11032720410003-n1.htm

 千葉倫之記者、斉藤太郎記者、峯匡孝記者の連名による、これは良質のドキュメンタリー記事です。こういう言い方では、議員たちの悲しみと努力が伝わらないかもしれませんが。産経政治部も、まれにはこうしたまともな記事を出せるのだと記録しておきます。記者によるんですかね。

産経抄】3月27日- イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/499359/
産経抄】3月27日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110327/dst11032703050012-n1.htm

 何度か述べているように、わたしは皇室を敬い奉る立場であり、それはなにより今上のお人柄に大してなのですが、こーゆーのにはドン引きです。皇室を何かに利用しようとすんな、不忠者が。

*1:メルトダウン発生という意味で、スリーマイルとチェルノブイリ