黙然日記(廃墟)

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サンスポももちろん産経系列。

いきものがかり吉岡、オールナイト年内卒業 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/entertainment/music/472531/

 9日付の、サンスポの記事です。しかもコメント欄でのpointsさんからのチクリ情報(感謝!)という手抜きぶりで、もうしわけありません。人気の音楽グループ・いきものがかりが、来年1月から半年間、テレビ出演などをしなくなる、オールナイトニッポンのパーソナリティーも卒業という記事。

いきものがかり水野「テレビ出ないと活動休止?馬鹿らしい」 : J-CASTテレビウォッチ
http://www.j-cast.com/tv/2010/12/09083031.html

 このサンスポ記事に対する、いきものがかりリーダー・水野良樹氏の反応です。
 ちょうど30年前になりますが、1980年末までコマネズミのようにテレビに出まくっていたあるコミックバンドが、81年前半はレコーディングに専念しテレビ出演を一切辞める、と宣言したことがありました。この時期に5枚のシングルと1枚のアルバムをリリースしました。当時は「テレビに出る歌手」と「テレビに出ないアーティスト」がはっきり分かれていて、シングルチャートはテレビの歌番組を中心に動き、また5ヶ月連続シングルリリースという形式が前例がなく受け入れられなかったこともあり、彼らはしばらくチャートから姿を消す結果になりましたが、アルバム『タイニイ・バブルス』は大ヒットし、サザンオールスターズというバンドの音楽的な幅を広げて高い評価を受けることになりました*1。この半年間の創作活動専念がなければ、サザンは単なる「たまにバラードも歌うコミックバンド」として、『勝手にシンドバット』『いとしのエリー』の二発屋で終わっていたでしょう。
 30年前と違って今は、一定期間を区切ってこうした曲作り・レコーディングに専念するというのは、珍しくもない話です。スポーツ新聞のような芸能マスコミは、古い歌番組時代の価値観で、なんでも針小棒大に伝え、ファンの危機感を煽る見出しを付けることを使命と心得ている節があります。《訳のわからない『関係者』が出てきたり、発言を都合よく脚色されたり、付き合ってたらキリがない》という水野氏(27歳)の反応は、彼が生まれる前の出来事をファンとして覚えているような世代からはいささかナイーヴにも見えますが(そういうナイーヴさがなければ、桑田氏も水野氏もミュージシャンとしてやっていけないわけですが)、おそらく30年前には大人ではなかったサンスポのスタッフが、30年前と同じ価値観をそのまま受け継いでいることの方が遙に問題です。いきものがかりの3人には、『Hey! Ryudo!」からもうワンフレーズ引用して贈ります。
 《Hey! Ryudo! いまさら言うのも変よね 歌いなさい なぐさめはいらない ただ そうよ 心から 身にしみるようなメロディ聴かせて 思い出などとうに忘れて》 *2

*1:このとき桑田佳祐氏は、ラジオ出演のみは続けていたと思います。リリースした最初のシングルのB面、およびアルバムにも収録された『Hey! Ryudo!』という曲の冒頭、《あいすみません ひところよりお目にかかれません つかの間に話もちょいと聞いてもらえりゃいい》というフレーズは、このへんの事情を指しています。

*2:『Hey! Ryudo!』はいうまでもなく、同時期にやはり、こちらはバンドとしての休養を宣言したダウン・タウン・ファイティング・ブギ・ウギ・バンドの宇崎竜童氏に宛てたものですが、30年を経ても通用するメッセージになっているんですね。