黙然日記(廃墟)

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産経記者の敬語観。

【安全保障読本】(46)「米国に言われる筋合い」の思いやり予算 訂1 (1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101107/plc1011072031008-n1.htmWeb魚拓

 本文は訂正しても見出しの訂正を忘れたらしい【安全保障読本】です。野口裕之記者だと思うのですが、署名もありません。
 産経新聞は、論調が“保守”で統一されており、社論そのものは親米保守であるとはいっても、記者によって親米保守と反米保守が分かれる、ということはよく指摘されます。野口記者(あるいはこの文章を書いた記者)は日米安保の必要性を認めながら反米寄りの立場のようです。これは、政府がイラン石油権益放棄で親米的姿勢を示したことと、「思いやり予算」削減で反米的姿勢を示したことを、いずれも政府批判に結びつけられるのですから、便利な立場と言えましょう。

【軍事情勢】大国に怯む国、大国が怯む国 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/460222/

 せっかくなのでもう一つ、これは野口裕之記者の署名入りコラムを。いつのまにか、社会部編集委員から九州総局長に出世していますが(ほんとになんで産経新聞社は、こういう人ばかり出世するのでしょうか)、書いているもののレベルは向上していません。
 例によっての、仙谷由人官房長官への攻撃です。《中国人民解放軍が日本を侵略なさいました》という表現は、たしかにどうかと思います。しかし、軍事行動もないのに「侵略」という表現を使ったことの方が大問題でしょう。これが仙谷氏の発言だとして、いつどこで発言したものなのでしょうか。文中にもソースは示されておらず、検索してもこの記事しか出てきません。場合によっては明日の官房長官会見で、またなにか言われるんじゃないですか。
 官房長官の公式な発言が、中国に対して丁寧語を使っていること自体は当然です。中華人民共和国は、北朝鮮とは違い、日本国と国交のある主権国家です。最低限の礼儀は払わねばなりません。こうした常識も踏まえない人が、中国商務省報道官の発言に《日本が主権国家であることを無視した暴言》と噛みついているのですからお笑いです。
 最後の方で、ノルウェーは中国の圧力に屈していない、戦時中はナチスドイツとも果敢に戦った、と引いているのはいいとして、1981年にスウェーデンソ連とトラブルを起こした話は、まったく関係ないと思うのですが……。「北欧諸国」というだけで、区別が付いていないのでしょうか。

追記(11/8)。

 コメント欄でpipisanさんから情報を戴きました。【軍事情勢】の方で野口記者は、〔スウェーデンが〕《領海侵犯した軍事超大国ソ連の潜水艦U137に向け爆雷を投下し、座礁せしめた》と書いています。これに該当すると思われるWikipedia:ウィスキー・オン・ザ・ロック事件には、新米の航法士官がとんでもない航法ミスで180kmも離れたスウェーデン領海に入り込んでしまい、海面航行中に勝手に座礁事故を起こした、と記述されています。はて、どちらが正しいのでしょうか。もちろんWikipediaの記述を全面的に信用することは危険ですが(特にこの記事には《作業中》の註釈がついています)、野口記者の記事よりは信頼できるような気がします。
 後出しで申し訳ないですが、野口記事の引用した部分を読んだとき、わたしも「おやっ?」と思ったのです。《爆雷を投下》、つまり潜水中の艦を攻撃したのですから、普通に考えれば海底で座礁することになります。それならばかなり深刻な事態で、原子力潜水艦と違い通常型はそんなに長期間潜っていられるように作られていませんから、のんびり政治交渉なんかしている余裕はありません。まずソ連は、おそらくスウェーデンも人道上の問題として、救出作業にあたったはずなのになあ、と思ったわけです。誰かさんのおかげで余計な心配しちまったよまったく。なんでこんな人ばかり出世(ry