黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経抄、他人の発音を指摘する。他。

岸井成格主筆就任に伴い、「毎日新聞叩きに反対するキャンペーン」を終了し、「毎日新聞を含むすべての全国紙を叩くキャンペーン」を開始します - kojitakenの日記
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20100704/1278218084

 kojitakenさんは「すべての全国紙」としながら、毎日・読売・朝日にしか言及していません(笑)。まあ産経にわざわざ言及する必要は、いろんな意味でないでしょうけれど。毎日新聞は昔から「社論がない」、記者によって意見がバラバラでそれが紙面にそのまま表れると評されていますが、盤石と思われていた朝日の左派的社風が近年大きく変わった例もあります。注目すべきところでしょう。

産経抄】7月4日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/411620/

 サミットなどでの菅直人首相の言い間違いから、弁舌で知られた菅氏の前途は多難とかいう結論になっています。いろいろな意味で前途多難ではありますが、アナウンサーではないのですから、発音を噛んだぐらいなら(B音の発音に弱いのでしょうかね?)内容に問題のある失言のたぐいとは性質が違います。政治家への批判としてはあまりに的はずれでしょう。菅首相の失言もあまりに目立つのは別として。
 サワヤカな弁舌を掲げながら他人の名前を間違えた首相といえば、安倍晋三氏がいます。殉職警察官の追悼に赴き、その警察官の名前を何度も言い間違えた件はあまりに有名です。G8からG20会合で19人の各国首脳と一度にタフな交渉に臨んだ菅首相については、発音で噛んだぐらいならいちおう同情の余地もありますが、その人物のためにわざわざ現地(都内ですが)に赴いた安倍元首相が名前そのものを覚えていなかったのは、状況があまりに違い弁護の余地もありませんね。抄子は、四半世紀前の二階堂進氏の言い間違いは覚えていても、3年半前の安倍氏のことはもう忘れ去ってしまったのでしょうか。
 つうか、他人の発音を指摘する前に、自分のところの誤植をなくせよ。

定数削減公約 「わが身削る」姿をみせよ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/411618/

 4日付「主張」。とにかく定数削減ありきの姿勢とか、一院制を念頭に置いたらしい憲法改正の提案(またかよ)とか、新しい議員会館が現行定数分だけの個室を用意しているから、定数削減ができるのか疑わしいとか(設計されたのは自公政権時代です)、面白いというか情けないというか、そんなことばっかり書いてあります。
 「国会なんか無駄だから、議員は全員馘にしてしまえ」というのは、床屋政談でよくあるパターンです。たしかに、民主主義とは非常に効率の悪いシステムですから、無責任な状況ならそう言いたくなる気持ちもわからなくはありません。ただし、国民の願いは「無能な議員はいなくなれ」であって、議員全員不要だと本気で考えている人は少ないでしょう。定数削減は、「全員馘」の発送の延長線上にあります。二大政党制を極論すれば、議員が3人(さらに言えば1人)いればいいことになるのですが、そんな制度を採用している国はありません。それがなぜなのか、すこしは考えてみる必要があります。
 「国会議員を100人削減しても100億円程度しか節約できない」という指摘がすでにあり、指摘されなくても自分でちょっと考えればわかることなのですが、どうして定数削減論が先行しているのか。「事業仕分けは6000億円しか削れなかったから無意味」と叩いてきた産経は、この矛盾をどう思っているのでしょうか(その事業仕分けを率いた枝野幸男・現民主党幹事長が定数削減論を振りかざしているのも、不可解なのですが……。「仕分け作業に国会議員の人数が足りない」って言ってたじゃん)。
 企業役員の報酬が高額だから減額しろという話はありますが、役員の数を減らせと言う人はあまりいません(箔付けのために名を連ねている非常勤顧問のような場合は別として)。あるいは、雇用削減で失業者を作るより、安定雇用のもとでワークシェアリングという話の方が、多くの賛同を得られるでしょう。議員が自ら身を削るなら、議員報酬の削減という話がまず出るべきなのですが、どうして定数(人員)削減ありきなのかがわかりません。*1
 特に、仮に衆議院の定数削減・二大政党化を認めるとしても、参議院の多様性は最大限守るべきであることを強調しておきます。

たちあがれ日本 尖閣上陸目指した候補者を除名 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/diplomacy/411475/

報道発表資料 - たちあがれ日本
http://www.tachiagare.jp/pressinfo.php
2010年7月3日(土) ニュースリリース:第22回参院選候補者の除名について(PDF)
http://www.tachiagare.jp/pdf/newsrelease_100703_01.pdf

 一部で話題になっているニュースです(たちあがれ日本の動向そのものに、一部の人しか関心がないので)。iza!ブロガー兼たちぽん信者の皆さんの戸惑いっぷりが楽しいですね。「園田博之幹事長(党紀委員長)が悪い」といった意見、当初から懸念されていた平沼派と与謝野・園田派の対立を見る人もいるようですが、こんなアレなことをする人を候補者に立てたのは平沼派の責任なわけで。この除名処分で党を見限る人も出てきそうな気配ですが、この候補者が上陸を果たし党の処分がなければ、マスコミ(除産経)の総バッシングが待っていたのですから、どちらが得策だったかはわかりません。そもそもこんな人物を候補に立てるべきではなかった、としか言えませんね。
 ちなみに、選挙期間中に比例名簿からの削除があった場合、それまでに投じられた期日前投票の票は無効、政党の得票としてもカウントされないようです。これで「あと××票あれば当選者が出たのに」という状況になった場合には、「除名者が実は百万票持っていたのに園田氏のせいで」みたいなことで吹き上がる人が出てくるのではないかと、今から楽しみです。
 産経の報道も、たちぽんの公約が領土問題を重視していることを付け加えてフォローしているあたりが素敵ですが、かえって(元)支持者の感情を逆撫でするんじゃないでしょうか。

*1:ただし議員報酬削減も程度問題で、無報酬に近いところまで減らすと一定の富裕層しか議員になれなくなり、これも多様な意見を反映できなくなります。