黙然日記(廃墟)

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産経抄、連日の自己矛盾。

産経抄】6月27日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/408666/

 1日遅れですが。中国が近代の戦争に関して歴史を捏造しているのは許せない、という指摘そのものはけっこうですが、「それなら産経も歴史の捏造をやめるべき」と言われてしまうのは当然すぎる話で、なんのつもりでわざわざ自分から巨大なブーメランを投げているのか、さっぱりわかりません。まぞ? 北朝鮮は現時点でも中国の言いなりになっているはず、という後半の前提は、中国側が北朝鮮に歴史を忘れないように警告しているという前半のエピソードと、矛盾していませんか。

産経抄】6月28日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/408983/

 永井荷風の日記から金に執着しない人のエピソードを引き、現代の企業役員の高額報酬について、庶民目線からやっかんでみせる。でも実は、荷風自身は大金持ちでした。という、途中までは「これ、どこの『天声人語』?」という趣です。ところが最後になって、荷風も資産家だと知られて苦労した、現代の企業役員も苦労があるんでしょう、大変ですねと切り替えて、そこで終わってしまっています。「やっかみぐらいは受けるだろうけど役員の高額報酬は当然」という、これは実に産経らしい姿勢ですが、これが格差拡大を象徴する具体例であり、現代日本の閉塞感や財政危機の最大の原因であることはまるっとスルーしている厚顔さも、これまた産経らしいところです。そもそも、比較の対象がおかしくありませんか。現代の価値で1億円という金額は、荷風にとってはストックとしての全財産ですが、役員報酬はフローである年収です。人もうらやむ総資産を1年で得てしまう人がいるという、常識外れの高額報酬が問題視されているのに、その違いにはまるで触れられていません。そもそも、1949年あるいはその前後の2000万円って、「今の物価で換算すると、1億円を超える額」と換算していいんでしょうか? どう考えても物価水準は10倍以上になっているはずなんですが。