黙然日記(廃墟)

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産経抄の連載。他。

上海万博開幕 発展モデル転換の糸口に - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/386283/

 1日付「主張」です。もちろん中国に批判的な内容なのですが、思ったよりまともでした。いつものような軍事拡張がどうとか、またチベット問や東トルキスタン少数民族問題がどうとかも言っていません(後者には触れても良かったと思いますが)。指摘されている問題は貧富の拡大と知的財産権の問題が少し、柱になっているのは環境問題(公害・温暖化・資源問題)で、資源問題もガス田の取り合いがどうしたとかは言っていません。経済面に絞った内容で、産経としては非常に好意的な「主張」なのかもしれません。
 ところで、2008年北京五輪と2010年上海万博は、しばしば1964年東京五輪と1970年大阪万博に対比されます。産経「主張」が指摘する中国の問題点を踏まえながら、40年前の日本を振り返ってみましょう。ちょうど、四大公害病水俣病新潟水俣病イタイイタイ病四日市ぜんそく)がピークとなり、大きな社会的問題となっていた時期です。このうち、水俣病が政治的な決着を迎えたのは、実に2010年5月1日のことです*1。温暖化問題についてはさすがに当時のことをとやかく言うわけにはいきませんが、もちろん二酸化炭素は排出しまくっていました(二酸化窒素や亜硫酸ガスも排出しまくっていましたが)。資源問題について意識が広まったのは1973年の第一次石油危機からのことで、それまでは米国型モータリゼーションだ、石油の消費量が国力のバロメーターだ、といった勢いでした。資源問題を意識したのが、外的な理由であることに注目してください。石油危機がなければ、(国内で石油を生産できるため)大量消費を続けていた米国と同じことになっていたのではないでしょうか。
 という感じで今日の産経「主張」は、ブーメランが突き刺さるというほど痛くはありませんが、自分たちの過去を忘れて他人様のことを言うのは、やっぱりブーメランじゃないでしょうかね。産経にしてはまともな「主張」ですが、やっぱり産経でした。

産経抄】4月30日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/385886/

産経抄】5月1日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/386258/

 これねえ。昨日の分は、赤プリ閉館決定を受けてバブルの思い出。今日はまた赤プリにまつわる戦後政治史です。いや、ぜんぜんオッケーっすよ? いつも話を詰め込みすぎでわけわかめになることを考えれば、毎回こうして前後編にしてほしいぐらいです。バブルの話は、わたしも経験していたので、そういや当時はクリスマス(またはバレンタイン)にはビーエム*2かシーマに乗ってティファニーのオープンハートをプレゼントして赤プリの予約を取れなければ、男性として認められなかったなあ、とかいろいろルサンチマンがあるわけですが、もちろん略します。
 今日の話題、1960年安保条約改定騒動前後の秘話は、これはふつうに面白く読めました。岸信介首相退陣後に民社・自民連立政権になっていたら、たしかに戦後史は大きく変わっていただろうと思います。わたしは、「自民党」といえば長期政権の、あるいは超長期政権崩壊後の姿しか知りませんが、当時の自由民主党はまだ結成5年にもならず、近年でいえば民主党自由党が合併してから政権を取るまでの間よりも短かったわけで、今考えるよりもずっと不安定な存在だったのでしょう。
 それにしてもこの筆者は、かなり民社党びいきのようです。また、現在は民主党に合流したかたちになっていることもお気に召さないようで、民自政権のあとの日本の姿を、どのように想像し期待したのでしょうね。わたしとしては、高度成長もままならないまま極右路線に走る、軍事独裁政権に近い姿しか思い浮かばないのですが*3

*1:鳩山首相水俣病の責任認めて謝罪 - イザ! http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/environment/386395/ 。被害そのものは、もちろんまだ終わっていません。また、四大公害病のうち第二水俣病については、まだ第三次訴訟が継続中です。

*2:BMWビー・エム・ダブリュー)のこと。なぜかこういう略した方が普通だったと記憶しています。

*3:そうなったら(左派)社会党が政権を奪還していたかもしれませんが。