黙然日記(廃墟)

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産経抄と権威への嗤い。

産経抄】4月13日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/379555/

 井上ひさし氏への追悼コラムです。政治的立場を異にする人物の訃報を受けた「産経抄」は、ときに故人を貶める見るに耐えない代物になることがありました。今日の分も、遅筆や離婚について触れてはいますが、今となってはそれらも一つのエピソードであって*1、「小欄も大ファンだ」というのは、たぶん本当なのでしょう。
 しかし井上作品のファンであることは、その笑いや言語感覚とともに、権力や国家への疑いを共有することでもあるのではないでしょうか。憲法イラク戦争について対立する立場であったことを、わざわざ表明する必要があるのか、そもそもなぜ井上ファンがイラク戦争支持のドグマにとらわれているのか、そこからしてたいへん疑問です。産経の訃報記事でほとんど触れられていなかったと思いますが、日本のコメを守れ、それは日本の原風景を守ることだ、という井上氏が先駆けとなった主張は、現在の多くの“保守派”の立場とも一致するものなのに、この点を評価する記述がまったくなかったように思えるのも、不思議なことです。

*1:もう少し深刻な、わたしも今はここに書きたくないようなスキャンダルがあったのですが、抄子もそれは書いていないわけです。