黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

古森義久氏の、傷。他。

 ……書き上げてあったのに、なぜ昨夜アップロードしなかったのだろう。これは16日分です。

米軍を「悪」とする根拠とは - ステージ風発:イザ!
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/1505633/

【安保改定から半世紀 体験的日米同盟考】(4)「新聞記者、重体」 (1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/america/100315/amr1003150836003-n1.htm

 古森義久氏のブログエントリは16日ですが、記事は15日付です。このシリーズは4回目で、いずれまとめて取り上げようと思っていたのですが、今回はわたしにとっても初めて知る驚くべき内容だったので、優先して取り上げます。
 1968年3月、毎日新聞の若手記者だった古森氏は、全学連系過激派のデモを取材していて、デモ隊または支援する群衆による投石の巻き添えを受け、ヘルメットが頭蓋骨に食い込むほどの重傷を負ったそうです。頭蓋骨骨折で「新聞記者重体」と報じられたそうですが、実際には頭蓋骨にひびが入り内出血したというレベルで、ずっと意識もあって自ら病院に駆け込めるていどで、4週間の入院後は後遺症などもなかったようです*1。ジャーナリストとして取材中の古森氏の体験には、同情と尊敬の念を禁じ得ません。また、デモと称する(あるいは「デモ鎮圧」と称する)暴力活動への怒りが、改めて沸いてきます。
 古森氏の、体の傷は癒えたのでしょうが、心の傷はどうなのでしょう。この記事(というよりコラムですね)に書かれているかぎりでは、古森氏にとってこの体験が、反米主義や共産主義への嫌悪感を植え付けたようです。それは人間の感情としてとても理解できるものなのですが、できればこのとき、暴力行為への反感も持ってほしかったと感じました。
 それにしても古森氏は、これほどの体験をしながら、ビルマでデモの取材中に兇弾に倒れたジャーナリストの長井健司氏に対して、敬意のかけらも見えない文章を書いていたのですか*2。エントリの見出しからすると、「米軍=悪」という考え方をするのは共産主義者、ということなんでしょうかね。

鳩山政権半年 「小沢独裁」に決別の時 腐敗是正と国益重視で結集を - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/369183/

 16日付「主張」。政権半年を祝して(違いますね)、2本分のスペースに図表を2枚もつける大サービスぶりです。「マニフェストの実施状況」という表では、手をつけたばかりのもの、または現時点で反故にされてしまった政策だけ並べて、たとえば無駄な予算の削減(事業仕分けの実施)を挙げていないあたり、じつにお茶目です。
 日銀総裁日本郵政社長の人事に関しては、民主党の野党時代と現在の主張が食い違っている点を指摘するのはあたりまえですが、それは天下り禁止の方針とは関係ありません。また、そのたびに産経が民主党の方針に反対したことは、逆に産経の人事に対する考え方のブレを示していると思うのですが、違うでしょうか。ある意味では一貫していますけどね。
 意外なのは、日米同盟教総本山広報紙という立場でありながら、この関連については1センテンスで片づけているところです。さすがにこれは、「今日はここまでにしといたるわ!」ということで、意識的に軽く済ませたのでしょうね。書くべきことがなくなって書けなかったわけではないと思います。過去の「主張」では、書くことがなくなっても同じ内容を何度も繰り返し書いていましたから。
 「民主党が批判してきた自民党政権下での利益誘導政治を、さらに強化しただけではないか」という指摘も、ごもっともではありますが、産経がそれを言うのかと。また、「国益や国民の利益」という記述から、あいかわらず別物として考えていることがわかります。そして結びの部分で、ついに自民党を見捨て、「国益を優先させる政治主体の結集」を求めている点が注目されます。鳩山邦夫氏の自民党離党を踏まえているようですが、さて産経の思うような第三極は形成されるのでしょうか。平沼・安倍・山谷新党なんてことになったら、当分は退屈せずにすみそうですが。

*1:こういう事件や後遺症をネタとして笑いものにする行為は、わたしとしては個人的に好まない、というか嫌悪感があります。

*2: d:id:pr3:20070929:1191077140 参照。ただし、長井氏はデモ鎮圧側の銃弾によって斃されたという違いはありますが。