黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経「正論」の面の皮。他。

学力テスト 民主は政策の誤り認めよ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/366072/

 昨日8日の「主張」ですが、見出しは「安倍政権関係者と教育再生会議は政策の誤りを認めよ」の間違いじゃないんでしょうか。本文で言っていることがぜんぶ間違い(としか思えない)というのは、ちょっとすごいですねえ。

普天間検討委 国益損なわぬ打開策示せ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/366520/

 今日付「主張」は、いつものアレです。もはや定点観測です。9割方は政府民主党を攻撃し、地元を説得しろ(意見を無視しろ)と唱え、国民新党案もダメだ(米国様がダメと言ったから)、社民党案は論外だ、というような話なんですが、最後にちょこっとだけ、沖縄県議会が全会一致で県内移設反対を決議した、つまり県議会自民党も賛成したことに苦言を呈しているのが、珍しいところです。いままでこの事実は無視していたのにね。

同盟を弱める「密約」の全容開示 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/366434/
しかし同盟国の一方が相手国の同意を得ないで過去の交渉過程を一方的に調査し、結果を一方的に公表することは、外交関係の成熟度を疑わせることにならないだろうか。同盟国の米国はそうした日本と安心して機密にわたる安全保障の協議を今後する気になるであろうか。

日米密約「3密約を認定」有識者委員会 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/diplomacy/366662/

 上の本日9日付「正論」は、平和・安全保障研究所理事長の西原正氏です。下は本日の一般記事。この調査結果報告の当日朝にこういう論説を載せるのも、いかにも間の悪い話ですね。ちなみに、有識者委員会のメンバーである坂元一哉大阪大学教授は「正論」メンバーでもあり、現在も産経新聞にコラム【世界のかたち、日本のかたち】を連載していて*1、さすがに産経も「有識者メンバーが偏向している、こんな報告は無効だ」とかいった批判はできなさそうです。
 さて、西原「正論」です。「核持ち込み容認の密約を明らかにする」ことと、「核持ち込みを拒否する」ことは、まったく別の話です。後者は外交・防衛政策上の問題ですが、前者は単に、情報開示の問題です。少なくとも、今回の岡田外相指揮下の調査は、そういう趣旨のものです。
 ストレートに言ってしまいますが、数十年前の密約を公開するのが同盟を弱める行為なら、先に同盟関係を切り捨てたのは米国側です。密約に関わる公文書が公開されたのは、もう15年以上も前の話です。しかしもちろん、公文書公開の意義は同盟弱体化のためではなく、主権者国民の知る権利を守るために、その僕たる政府が行うべき義務だからです。言うまでもなく、日本国もアメリカ合州国と同じく国民主権を掲げる民主主義国であり、原則としては同じていどに知る権利が保障されていると考えるべきです(法制化がいろいろ立ち後れていますが)。この、密約の存在は米国が先に公開しているという単純な事実を、ここまで見事に無視してこれだけ長々と書き続けられる西原氏は、見事な面の皮としか言いようがありません。現在の民主党連立政権と岡田克也外相は、非核三原則の堅持を言いつつ、現状で米国の核の傘に入っていることを否定してはいません(将来像はともかく)。その意味で、この「正論」後半はシャドーボクシングにしかなっていません。
 西原氏が、軍事的対米従属を最優先して密約問題を語るなら、まだ話はわかるのです。なにがあろうと安全保障のためには米国に従うしかない、というのは、それはそれでひとつの考え方でしょう。しかし、今回の調査を否定するのは、単に外務官僚や過去の自民党政権が自己保身のために密約を隠し、事実が明らかになってからさえ嘘の上塗りで責任を逃れ続けたことを、追認しているだけです。どんな政治的立場を持ち出しても、これを正当化することはできないでしょう。

安倍元首相「核密約の申し渡しはなかった」 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/diplomacy/366657/

 おまけ。安倍晋三氏のコメントです。産経はまた政局になんの影響もない人の意見をわざわざ聞きに行って、とか一瞬思ったのですが、そういえば元首相で、密約申し送りの有無に関しては当事者したね、いちおう。貴重な証言を伝える記事です。いちおう。しかしこの証言をよく読むと、「前任者(小泉純一郎元首相)からの申し送りがなかった」というだけで、外務省などから説明があったかについては触れていませんね。