黙然日記(廃墟)

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産経論説陣の文民統制観。

 あれ? 何でこのエントリが3月9日付になっているんだろう。8日付のつもりでした。

【40×40】潮匡人 史上最低の文民統制 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100304/plc1003040750008-n1.htm

 4日付ですがいまごろ。自衛隊出身の潮氏は、先日の連隊長発言処分問題について、ダブスタとかブーメランとかをてんこ盛りにして、自衛官が首相の発言を批判してなにが悪い、むしろ部下を管理できない文民首相の責任だ、と開き直っています。上長批判は本来なら軍法会議です(自民党改憲案に軍法会議設置の検討が含まれていましたね)。

文民統制に政治の自戒が不可欠 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/366084/

 さて今日の「正論」は、防衛大学校名誉教授の佐瀬昌盛氏です。どうせ防衛大関係者なら、たまには五百旗頭真氏あたりにも書かせれば、一部の人たちが逆上して面白そうなんですが。
 首相の「軽率発言」がなければこんな問題は起きなかった、というのは、普天間基地がなければこんな問題は起きなかった、とか、自衛隊を作らなければ連隊長発言も起きなかった、とか、なんでも言えるわけです。もっとも、「文民統制の原則に照らして、政府が連隊長発言を聞き流すわけにはいかないことも明白」ともしているので、少なくとも潮氏よりは「文民統制」というものをまともに認識していることは間違いありません。自衛官は全員その原則をよく理解しているから、政府の方でも責任を感じてくれというのは、前提にかなり疑問があるものの、正論です。ただそのあと、戦後日本において文は善にして賢・武は暴にして蒙とされているのはおかしい、スターリンは、毛沢東は、蠟小平は、、ヒトラーは、逆にアイゼンハワーは、ドゴールは、とか言い出してしまっています。クーデターで文民政治を乗っ取った軍人が、結局は国を誤った例のほうが、現代にいたるまで無数に挙げられるんですけどね。文民統制という思想が先験的であってはならず、常に検証を必要とするとう指摘は重要ですが、これはたとえば民主主義という思想についても、同じことが言えます。最善ではないだろうが他のどの体制よりも優れていると経験的に証明されいる、という思想です。
 文民統制が絶対ではない根拠として、佐瀬氏は「政治は軍事のプロではない」という理由を挙げています。文民が軍事的知識も持っていた方がいいのは確実で、どんな知識でも持っていた方がいいのですが、では、政治に口を出させろと唱える制服組(の一部、ex.タモちゃん)は、政治の専門知識を持っているのでしょうか。いまどきの日本の政治家はどうなのか、といわれそうですが、彼らは国民(選挙民)の信頼を失えば政治は立ちゆかない、ということを、我々が思う以上に身にしみて理解しているはずです。