黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経史観の謎が解けた。

 季節の変わり目には、身体と精神の不調に気をつけましょう。どちらにも酸辣湯シリコンバレーの伝統食)がよく効きます。最低限で、ガラスープの素・塩・おろし生姜・胡椒・片栗粉・酢があれば作れます。

産経抄】2月24日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/361362/

 池袋キンカ堂が閉店ですか。他のところにも書きましたが、産経的価値観では手芸用品店なのでしょうが、わたしから見ると(手作り派レイヤーにとっての)「コスプレの聖地」でした。池袋という街の面白さのひとつは(新宿にも共通するし、もしかしたら渋谷もそうなのかもしれませんが)、意外なジャンルの専門店が成立してしまうところではないかと感じています。カメラ量販店が8階建ての巨大なビルを建てたり、アニメグッズの専門店が7階建てのビルになったり、同人誌専門店が4階建てのビルだったり、あるいはわたしの知らないジャンルでもそういう店舗があるのだろうと思います。いや、量販店やおたく向けショップの隆盛は、今となっては珍しくないでしょうが、いずれも池袋店ができた当初はたいへん驚いたものです。
 という、まあ穏やかな話題だったものが、後半でいきなり鳩山夫妻への批判になるところは、産経抄として合格ですね。首相公邸改装費474万円の話はそもそも、首相夫人のわがままで(しかし感覚としては理解できるところもあります)浴室を改築するために1000万円を使ったのではないか、という「疑惑」に対する回答だったわけです。賃貸住宅や中古住宅の場合でも、住人が入れ替わるときに掃除や内装の手入れをするのは普通の話で、広くて高級な公邸なら、あるていどの費用はかかるでしょう*1。474万円が多いか少ないかは明細書を見ていないので不明ですが、「理不尽な要求で1000万円の公費が使われた」という話ではなかったわけです。ガセネタで空振りだったからといって、こんなかたちでやりこめたような気になるのは、どんなもんでしょうか。この件を質問しようとした高市早苗・元男女共同参画担当相、保守のホープにとっての、赤っ恥になっただけなんですけどね。

夫婦別姓 考えたい子供への悪影響 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/361358/

 24日付「主張」。産経が反対の立場であることはわかっていましたが、「慎重であるべきだ」などではなく「法改正には到底、賛成できない」と、かなり強硬な態度を示しています。まあ、よほど強く主張しないと世間から無視されっぱなしですからね。
 「現行制度は、日本の伝統的な家族観に基づき」とかもう、いつもながら特にこういう問題になると、産経は息を吐くように嘘をつきます。日本で夫婦同姓が制度化されたのは明治民法からで、そもそも東アジアの伝統では*2……と書きかけて、ふと気づきました。産経史観において、「夫婦同姓が日本の伝統」というのは、嘘ではないのかもしれません。聖書原理主義の人たちは、地球が6000年前に創造されたと信じているのとまったく同じように、産経史観の人たちは、日本の歴史は明治維新で創造されたと信じているのではないでしょうか。聖書原理主義者に恐竜の骨の説明を求めると、「そういう形で最初から地面に埋められたものとして創造されたのだ」と説明されるわけですが*3、そこから類推して、140年前の明治維新と同時に、それ以前2530年ほど(神武即位以来、もちろん天地開闢からはもっと長いですが)の歴史が一気に創造された、という考え方なのでしょう。産経が歴史教科書を評価するとき、神話部分と明治以後しか読まなかったらしい、という話がありましたが、こう考えるとうなずけるところです。


 民法改正に関して唯一の気がかりは、女性の結婚年齢が18歳に引き上げられることで、一部のラブコメ作品が成立しなくなってしまうことだけです。*4

朝鮮学校 無償化除外へ知恵を絞れ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/360817/

 23日付「主張」にも、いちおうツッコんでおきます。「子供に罪はないのだから、生徒のためになるように知恵を絞れ」というのが、普通の日本語であり、普通の人間の言葉です。これ以上なにも言いたくありません。

[food]簡単的酸辣湯

 冒頭で少しボケたので、ついでに、いちおうそれなりのレシピを示しておきます。上に書いた材料以外は、適当に引き算していってください。

  1. 鶏胸肉1枚を小鍋でゆでる。火が通ったら鶏出汁から取り出し、触れるぐらい冷ましてから細切りにする。
  2. ゆで汁を味見して、味が足りなければガラスープの素・塩で調節する。
  3. 鶏肉と野菜類(もやし・長ネギの繊切り・戻した椎茸の細切り・筍の細切り・エノキダケ・冷凍中華野菜ミックスなど)を適当に入れて一煮立ちさせる。今日使ったのはもやしとネギだけ。おろし生姜と、我慢できそうな限界まで胡椒(粗挽きじゃなく細かい粉胡椒)を入れる。香り付けていどに醤油一垂らし。
  4. 片栗粉を水で溶いておく。卵1個に塩・ゴマ油少々を加えて溶きほぐしておく。
    • スープ椀で水溶き片栗粉を作り、とろみ付けの間に同じ器で卵を溶くと、皿洗いが圧倒的に楽になります。ただしほぼ確実にタイミングを外します。
  5. 沸騰したら火を弱め、大きくかき混ぜながら水溶き片栗粉を少しづつ流し込んでとろみをつけ、かき混ぜながらもう一度沸騰させ火を止める。
    • 水溶き片栗粉は魔法ではなく、科学です。「片栗粉という物質は熱湯に入れると固まる性質がある」ということを基本として認識してください。均一にするために水で溶きます(正確には、溶解するのではなく粉が水の中に浮いているだけの状態です)。熱いスープの中へ一気に入れると、片栗粉部分だけが固まります。一定の濃度がないとまったくとろみがつきません。水溶き片栗粉の液体とスープという液体がバランス良く均一に混ざり、そこに熱が加わっていれば、適切なとろみがつくわけです。
  6. すぐに溶き卵を回し入れ、さっとかき混ぜてふんわり固める。酢を大さじ1杯ぐらいと、好みで辣油を垂らして最後に全体をかき混ぜる。

 ついでに。別の方向で材料を引き算していって、ガラスープの素(本当は味覇などの半練り状スープの素がお勧め)・塩・普通の量の胡椒・味付け溶き卵だけで、最後に刻みネギを浮かせると、本格的中華スープになります。本当にこれだけです。

*1:個人的な経験で言うと、木造アパートを退去したとき、修理費清掃費その他で十数万円を請求されました。ちょうど敷金を少しオーバーするぐらいで、差額は負けますよ、とかいう扱いでしたが。

*2:ただし、東アジア儒教世界の伝統で夫婦別姓が基本なのは、「名誉ある夫側の姓を嫁なんかには名乗らせない」という発想からなのですが。

*3:という解説は不正確かもしれず、少なくともある宗派の人は「科学者の年代測定がデタラメなので、恐竜はノアの洪水まで生きていたのだ」と言っていました。

*4:児童ポルノ法で「児童」の定義が18歳未満とされているのに結婚年齢と矛盾している、法律自体が無意味だ、というかたちで攻撃する向きもありましたが、児ポ法成立当時には民法改正がとっくに視野に入っていたので、10年以上もこの矛盾が放置されていたこと自体がおかしいというだけです。「児童」の定義については、民法ではなく児童福祉法第4条に合わせたものと考えるべきでしょう。この法体系の矛盾が生じた店については、主に、結婚年齢引き上げと同時に選択的夫婦別姓制度が導入されることに反対してきた“真正保守”派の責任でしょう。一括改正にこだわった推進派にも責任があったといえばそうですが。