黙然日記(廃墟)

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産経「主張」の視点欠落。他。

鳩山家資産 やはり参考人招致が必要 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/328802/

 昨日もちょろっと書きましたが、鳩山由紀夫氏はほんとに宇宙人というか金銭感覚がアレというか、とにかくアレな人生の人なわけですが、また新しく常識では考えられない金銭疑惑が注目されているようで、26日付「主張」があらためて噛みついています。政治資金規正法違反だ、個人献金の上限枠をはるかに超えている、さもなければ贈与税の脱税だ、というこの「主張」を読むだけでは、「これって規正法の規定がおかしいんじゃないの?」という疑問しか浮かんできません。けっきょくのところ、自分の資産または隠居した親の資産(税金の問題を除けば、これをあまり区別して考えないのは世間でも普通だと思いますが)を持ち出しで政治活動に使った、というだけじゃないのかな。どっちかというと、これは産経好みの美談のたぐいじゃないのかなあ、と。

asahi.com朝日新聞社):社説 2009年11月26日(木)鳩山献金疑惑―「ずさん」にも限度がある
http://www.asahi.com/paper/editorial20091126.html

 で、念のため朝日新聞「社説」を読んでみて、やっと気づきました(遅いよ)。政治資金を個人の持ち出して使っていいことにしてしまうと、もともと資産を持っている人が圧倒的に有利になってしまい、志と能力があれば誰でも政治家になれるという理想から遠ざかってしまうのだという、政治改革の基本的な考え方を。金のかからない政治(政治家が支出を増やさなくてもらい政治体制)を実現すれば、自分の資産や他人の資産に手をつける必要もないはずなので、こうした問題がそもそも起きなくなるわけです*1
 しかし産経「主張」には、こういう視点はないんですね。いまさら階級史観でもないでしょうが、やっぱり産経は結局金持ちの味方なんだなあ、それも、自分の資産を投げ打って、という視点のない、金持ちがさらに金持ちになるための政治の味方なんだな、と。ボーナス手取り十万円台の身*2で金持ちと金持ちに有利な体制の味方をして、なんのいいことがあるのかは知りませんが。

社保庁分限免職 長妻氏は信頼回復を貫け - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/328803/

 民主党政権だからすべて信頼できるというわけではないでしょう。この「主張」にも登場する平野博文官房長官がまさにそうであるように。しかし長妻昭厚労相なら、特に社会保険庁の解体処理に関しては、信頼に値する人物だと考えていいのではないでしょうか。この「主張」は、労組が抵抗して平野長官を操っているのだ、的な見方も示していていかにも産経的に見えますが、一方で長妻大臣が方針を貫くだろうことを見越して、「ほらみろ言ったとおりになった、正義は勝つのだ」みたいなことを後で言い出すつもりじゃないのかしらん、てなことをちょっと思いました。

*1:資産を持たない人物が金のかかる政治活動をするためのひとつの方法は、利権を漁ったり企業から賄賂的な資金を手に入れることで、たしかに田中角栄は政策面で有能な政治家だったという評価をわたしはしていますが、さすがにこれも現代ではあり得ない選択肢でしょう。

*2:それでもボーナスがあるだけマシで、こちとらバブルのころからこっち、ボーナスと名のつくものなんか一銭も貰ったことはありませんがね。