黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経「正論」の大東亜観。他。

鳩山アジア外交 日米基軸を再確認したい - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/316922/

 26日付主張です。まず日米関係強化を、共同体に米国の関与を、と無条件の前提を求めながら、現実には中国とASEANが関係を強化している(来年1月からFTA圏が成立する)のだから急げ、とか言っちゃってます。共同体に米国参加を必須とする意見は米国自身と産経新聞ぐらいで、中国・ASEAN側は否定的ならば、バスに乗り遅れないためには米国を外すのが最大の近道でしょう。少し考えればわかることを、この「主張」はどうしろと言いたいのでしょうか。

米国除く「共同体」は機能せず 過去にも2回同様の議論 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/317269/

 井上寿一学習院大学教授による27日「正論」も同じテーマを取り上げています。過去の議論とは、1930年代の「東亜協同体」論を指していますが、日米戦争必至と思われ『日米もし戦はば』がベストセラーになるような状況*1、とは、今はだいぶ違います。
 「米国排除ではダメ」という結論を導くために、井上氏もずいぶん大きなネタを持ち出してきたものですが、東亜協同体や大東亜共栄圏の発想がなにをもたらしたか、顧みることはないのでしょうかね。その結果として自らが従米思想に染まったのだ、という自覚までは求めないにしても。

古森義久氏はあいかわらず面白い。

すばらしき産経新聞の寛容――匿名人間の卑劣 - ステージ風発:イザ!
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/1285122/

 以前は「日本一の古森ストーカー」などと自称していたわたしですが、いくら批判しても蛙の面にどうたらの有様に最近はすっかり飽きてしまって、ろくにブログもチェックしていない状態です。なので、この称号はd:id:vanacoralさんに譲ろうと思います*2
 そんなわけで、またコメント欄でとらとらさんから情報をいただいくまで知らなかったのですが*3古森義久氏のブログがなんか面白いことになっています。いくら否定するためとはいえ、iza!ブロガーの口汚い罵りをそのまま転載しているようでは、古森氏ともあろうお方が自らの品位をわざわざ貶めているようにしか見えないのですが……。長年新聞記者を務めてきた古森氏は、「言論の自由」がジャーナリズムにとって、また社会全体にとって、最大の武器であるという理屈は、建前ではなくきちんと認識しているのだと思います。その一方で、長年のスター記者としての実績が、彼自身への批判に(特に、記者としてのアイデンティティを侵す「言論弾圧者」との批判に)過敏に反応させ、その言論を弾圧してしまうのだろうと思います。こうして書いてみれば明らかな自己矛盾なのですが、ご本人はどのように認識しているのでしょうか。まさか気づいていないということはないのでしょうが、他者の言論を弾圧するたびに「これは〜だから言論弾圧ではない」という言い逃れをすることで自己肯定していては、問題を先送りにするだけでいつか破綻するしかない(というかここ数年でもなんども破綻寸前まで言っている)わけですが。他人事ながら心配です。関係ないですがここ数日は1日3回も新エントリを上げていますし、どうしちゃったんでしょうか。
 しかしその相手がまさかstaro氏だとは。彼は、かつて古森ブログで数多くの礼賛コメントを書き込み(あるいは批判派を罵倒し)、また彼の登場と前後して批判的コメントの削除が始まったため、一部では古森氏の(または産経担当者の)別ハンドルではないかとも疑われていましたが、単に一日中張り付いているヒマ人だったんですね。

*1:仮想戦記小説等はあいかわらず一定の読者を得ているようですが、本気で読んでいる人も少ないでしょう。――たぶん。

*2:vanacoralさんは、古森氏が以前「米軍の増派がイラクに平和をもたらしている」と主張していたのがただの寝言であることを証明するため、ブログで「今週のアフガン、イラク情勢」シリーズを2年近く続けていらっしゃいます。

*3: http://d.hatena.ne.jp/pr3/20091025/1256482894#c1256570565