黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経「主張」の不思議。

【主張】官製談合 温床絶つ公務員改革急げ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/270286/

 官製談合がやまない、自助努力も役に立っていない、その根本原因に(キャリア官僚の)年功序列制と天下り制度がある、なんとかしなくてはいけない、しかし麻生首相にはそれをやる気も能力もないようだ。ここまで正確な問題意識を持っているのに、現体制の元での抜本改革を求める結論になっている、たいへん不思議な産経「主張」でした。

【正論】米知日派を再び挫折させるな 元駐タイ大使・岡崎久彦 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/270248/

 昨日の夜中、ふと、「そういえばしばらく前に岡崎氏が面白い『正論』を書いていたなあ」と思い出す機会があったのですが*1、そしたら今朝の「正論」欄に岡崎氏が登場して、また同じような面白いことを言っているのでびっくりしました。
 今回も、まず冒頭から、オバマ政権は対日重視だ、その証拠にクリントン国務長官が最初に外国訪問したのも、ホワイトハウスが最初に受け入れた外国首脳も日本だった、と、いかにも嬉しそうに述べています。尻尾を振るポチの姿がディスプレイの向こうに透けて見えるようです。さらに、当時日本のマスコミがせっかくの麻生首相訪米をろくに報じずに中川昭一財務相(当時)の醜態ばかり注目していたことには、「これは日本のマスコミの品位を貶(おとし)めるものであったと思う」とまで言っているのですが、自国の主要大臣がまったく信用できない人物であることと、それを糊塗するために任命権者が外交パフォーマンスを演じたことと、どちらが報道すべき重要事でしょうか。
 その他、上の「主張」と同じく先の見えている政権に無駄な期待をかけたり、「正論」欄ではオートリピートのように繰り返される、日米同盟のために集団的自衛権を認め防衛費を増額せよといった主張が続くわけですが、もうこのあたりはうんざりですね。オートリピートと表現しましたが、いろいろ読み比べてみると、その根拠が国粋的な自主武装強化を目指すためなのか、米国が要求しているからそれに従うべきだという根拠なのか、同床異夢の観があります。もちろん「正論」筆者たちも、それは承知の上で連立を組んでいるのでしょうが。

*1:その面白い「正論」に関しては d:id:pr3:20060825:1156505670 および d:id:pr3:20060827:1156611458 参照