産経「正論」、間に合わせる。
【正論】西尾幹二 敵基地調査が必要ではないか - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/258360/
なんか異常にタイミングがいいのですが、昨日午前の核実験報道を受けてすぐに書き上げたものなのでしょうか。いちおう本文中で二回目の核実験に言及されていますが、そこから起こした文章ではなく、事態の急変を受けて入稿済みの原稿にとってつけたような印象があります。まあ、半日で書いたと考えても納得できるぐらいの粗い論考ではありますが。
西尾氏はここで、東京裁判で日本側の弁護を担当した米国人弁護士が、「経済制裁は戦争行為だ」という認識を持ち出したことから、北朝鮮への現在の経済制裁も戦争行為なのだ、という論を展開しています。「拉致被害者は経済制裁の手段では取り戻せない、と分かったとき」とか書いているので、では経済制裁をやめよう、という話になるのかと思ったら、そのまま「経済制裁から武力制裁に切り替えるのが他のあらゆる国が普通に考えることである」と続きます。武力制裁で拉致被害者が帰ってくるということでしょうか。
本筋とは関係ないですが、「Voice」6月号で竹内薫氏が「独裁国家が強力な破壊力をもつ軍事技術を有した場合、それを使わなかった歴史的な事例を見つけることはできない」と述べていることが引用されていますが、たしか毛沢東独裁時代の中華人民共和国は、核弾頭を搭載できる大陸間弾道弾を保有していましたよねえ。スターリン時代のソビエト社会主義共和国連邦もICBMはともかく核兵器を保有していました。両者とも、実際に使用するよりは外交カードとして使った方が有効だ、という判断を下したようですが。
経済制裁にしろ武力制裁にしろ、「どう使えば有効なのか」ということを考えなければ、まったく意味がありません。そういう意味で現在の経済制裁を、事態の急変に合わせることも含めて検討し直すことは必要ですが、武力制裁・先制攻撃論の有効性を(現実性も含めて)考慮する必要があるでしょう。