黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経、大御心を踏みにじる。

 たいした理由もなく2日もさぼってしまいました。とりあえず書いてあったものだけ。

【軍事情勢】皇室と自衛隊の温かなきずなを - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/koushitsu/236687

 29日付の記事です。前半では明治天皇と乃木大将の、涙なくては語れないエピソードを芝居がかった描写で紹介し、現在の皇室と自衛隊にもその関係を、という、例によっての野口裕之記者です。まず、明治天皇を「大帝」と表記しているのはどういうつもりでしょうか。「天皇」の称号は至尊にして唯一のものであり、西洋諸国ごときを真似てその水準に引き下ろす「大帝」の呼び名を使うべきでないことぐらいは常識でしょう。
 それはともかく後半では、現在の皇室が自衛隊に冷淡だ、といった不満を書いています。「現今(げんこん)と政体は異なるも」と書いていますが、その政体の違いを本当に理解しているのでしょうか。立憲君主制である以上、君主の行動は憲法に束縛されます*1天皇が国軍の最高司令官だった旧憲法下と、天皇の国事行為を厳格に定めそれ以外は行わないとしつつ「軍隊」の存在を否定した現憲法下の天皇が違うのは、当たり前です。また、天皇と軍隊(自衛隊)は関わりを持たない、二度と軍隊に天皇を利用させないというのは、おそらく戦後の昭和天皇は心がけていられたことでしょうし、少なくとも今上ご自身、また皇太子殿下ご自身のご意志でもあるでしょう。将軍に忠義を求めるのも、自衛隊基地に足を踏み入れないのも、いずれも「今上のご意志」なのです。念のため付け加えると、現政府には天皇のご意志を無視する権利があるのですが(ご高齢で公務を減らそうという相談をしているときに無闇に大臣認証の仕事を増やすなど)。

*1:日本国憲法立憲君主制であるのかはまた別の議論ですが、いずれにしろ憲法には束縛されます。