黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経、原則論に走る、他。

【主張】首相サハリン訪問 「北方領土」進展のテコに - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/222721/

【正論】東京大学名誉教授・小堀桂一郎 樺太を露領と認めたのはいつか - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/222749/

 17日分取りこぼしを、ネタがかぶってるので2本まとめて簡単に。あいかわらず誰に読ませたいのか不明である怪しげな旧仮名遣いの小堀「正論」には、いつもならもっとツッコみたいのですが。
 麻生首相が今日18日から樺太島北部にあるサハリン2を訪問しています。以前のエントリ*1とかぶるんですが、この地域がロシア領だと認めたのが、小堀氏のいう「いつか」ということなら、明治維新直後の樺太千島交換条約のときからです。それからずっと、樺太島北部はロシア(ソ連)領のままです。日露戦争樺太島南部が割譲され、その帰属がどうなっているかは問題となっていますが、北部についてはいっさいの紛争は起きていません。小堀氏が万が一耄碌されているのだとしても、「主張」の方も同じような論調なのですから、産経新聞としてもこの簡単な事実を認識できていないのだと思われます。
 また「主張」では、南樺太の実効支配という既成事実を認めてはならない、とも唱えています。既成事実の積み重ねを認めず原理原則に立ち返るべきだと主張するなら、とりあえず自衛隊は廃止して改憲してから改めて創設するべきですね。

【コラム・断】文春VS.新潮に朝日が軍配を - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/dan/223168

 以下18日分。朝日新聞阪神支局襲撃事件赤報隊事件)は、メディアとジャーナリズム、言論とテロに多少でも関心を持つ人間なら忘れてはならない出来事ですが、その実行犯と称する人物の告白手記を掲載した「週刊新潮」の“スクープ”と、朝日新聞の反論、「週刊文春」が週刊新潮側を批判するかたちで結果的に朝日の擁護をしていることが注目されています。そこに、なんとあの潮匡人氏が朝日・文春側に乗っかろうとしています。問題の手記や関係記事を読めば読むほど週刊新潮側は苦しくなっているし、潮氏が文春の尻馬に乗って新潮を批判するぐらいはおかしくないのですが、その核にいるのが一般企業や産経だの読売だのではなく朝日新聞というところが、なんとも奇観を呈しています。
 しかし、潮氏が週刊新潮側についても、それはそれで不思議ではないところです。法廷の場に持ち出すように朝日を煽っているのは、もしかしたら潮氏は新潮側に勝ち目があると判断しているのでしょうか。南京事件や百人斬り、従軍慰安婦問題と違い、阪神支局襲撃事件は「あったかなかったか」の争いにはなりえないわけで、どちらに転んでも朝日批判側が負けるということはないわけですが。*2

【主張】日米首脳会談 同盟深化へ実行力を示せ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/223167/

 クリントン国務長官の最初の訪問先が日本国、オバマ政権のホワイトハウスに最初に招待されるのが日本国首相ということで、対日重視だとはしゃぐ産経の姿は微笑ましいものです。首脳会談の日程は今月24日、つまりわずか1週間後、しかも予算審議の山場という驚くべきスケジュールになったわけですが、そんなことは全然気にしていません。今日から始まる日ロ首脳会談については、3週間前の招待だったことをかなり批判していたように記憶しているのですが*3

【正論】多摩大学教授 中谷巌 私が「懺悔の書」を書いた理由 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/223165/

 以前は強力な新自由主義の推進者でありながら、昨年大転換を遂げたことで話題になった中谷氏の“弁明”です。個人的にはとてもわかりやすい、新自由主義への本質的な批判だと思ったのですが、どうでしょうか。

*1: d:id:pr3:20090212:1234364545

*2:朝日新聞社が該当人物に損害賠償を請求して訴えたとして、真実の実行犯だった場合は「週刊新潮」のスクープが認められます。虚偽であった場合、「週刊新潮」はダメージを受けますが、訴えた朝日側の敗訴という形になるので、文春や潮氏はそれを手がかりに朝日批判に転じることもできます。

*3: http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/221088 など。見落としていましたが、この11日の無署名記事は外務省への取材を中心にしたものでしたね。