黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経抄の因果観とつくる会報道、他。

産経抄】10月31日 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/191593/

 あいかわらずひどいコラムで、江戸川柳から『はじめてのおつかい』をツカミにして児童虐待事件に言及するという全体の構成もひどいのですが(朝刊コラムなのにiza!での配信時刻が11:26というのもひどいし)、テーマらしきものである児童虐待について、まったく理解していないあたりがいちばんひどいですね。
 「虐待の連鎖」という言葉を使っているのですが、使われ方の文脈で見ると、どうもこれを「現時点で複数の虐待事件が並行して起きていること」の意味だと思っているようなのです。「連鎖」という言葉は「つながり」という意味なのに、なぜ並行する(相互に因果関係のない)出来事を意味すると解釈できるのか、不思議です。言うまでもありませんが「虐待の連鎖」の本来の意味は、「親に虐待された子供が成長して自分の子供を虐待してしまう」という現象を指すものです*1。もちろん、統計的にそういう傾向があるというだけの話で、虐待された子供が必ず連鎖を起こすわけではないし、そうしたプレッシャーに立ち向かう本人をいかにサポートするかが、現在の社会での課題となっています。また「産経抄」が何の脈絡もなく書いている「継子いじめ」も、そうした偏見からくるプレッシャーへの対応が、同じような課題となっています。こうした問題で現に苦しんでいる親がたくさんいるのです。
 児童虐待には複雑かつ深刻な背景があり(上に挙げた例はほんの一部です)、行政と学界と社会全体が一致して対応しなければならない問題なのですが、それを情愛だの近所づきあいだの*2教育勅語だの(とは今回は書いていませんが)で片づくと思っている産経の姿勢は、ひどいとしか言いようかありません。

新しい歴史教科書をつくる会」会長の訴えを棄却 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/191719

 ちょっと予想外の記事でした。というのは、判決そのものではなく記事の表現についてです。現「つくる会」の藤岡信勝氏が旧「つくる会」元会長で現在は日本教育再生機構理事長の八木秀次氏を名誉毀損で訴えた裁判なのですが、再生機構側についている産経は八木氏の視点から報じるだろうとばかり思っていたからです。
 原告側(藤岡氏側)の弁護人は統一協会信者とされる(少なくとも統一協会の弁護人を何度も務めている)福本修也弁護士であることをコメント欄でid:ni0615さんにご教示いただきましたが*3、さすがに産経もそれだけの理由で八木ちゃん側に立たないってことはないだろうしなあ。まあ、「つくる会」敗訴の事実だけ伝えて、再生機構が訴えられていたことを隠している、と見ることもできますが。


 最後は楽しいニュースで締めます。

今日は一日 ○○三昧(ざんまい) - NHK-FM
http://www.nhk.or.jp/zanmai/next-theme.html
12月31日のテーマ:今日は一日『アニソン』三昧ファイナル
9:15〜24:30(11:50〜12:15、18:50〜19:20ニュース等のため中断)

 ついにスケジュールが発表されました。GWにやらずにどうするのかとみんな心配していましたが、まさかこの日程とは。いくら(サイトのヒット数で)『紅白歌合戦』を上回るNHK最大の人気番組とはいえ、NHK捨て身だなコミケの日程と重ならなかったのは個人的には助かるけど……というか、コミケの当落も今日発表でしたが*4。もしかしたら、コミケを外すためにこの日程にした? あと、大晦日NHK-FMって、『第九』をやるもんだとばっかり思っていましたが……まさか、アレの挿入歌扱いでやるのか? 
 しかし、ファイナルとはいったい。もしかしたらいつか、「今日は一日『特撮』三昧」が……さすがにないか。

*1:同じように「貧困の連鎖」「体罰の連鎖」など、産経論説陣がまともに理解していないだろう類似の問題はたくさんあり、また相互に絡み合っているのですが、ここではやむを得ず省略します。

*2:虐待の発見に近所づきあいが非常に有効なことは確かですが、この「産経抄」はその点にも言及していません。

*3:有田芳生氏のblogでも確認できます。「月から見る地球は親指に隠れる - 有田芳生の『酔醒漫録』」 http://saeaki.blog.ocn.ne.jp/arita/2008/10/post_ab1f.html

*4:落ちましたけどね。ええ……orz