黙然日記(廃墟)

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エロゲ表現と人間性。

エロゲー人間性失う」円より子議員の掲示板に批判 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/entertainment/comic/147376

 児童ポルノ法改正などの表現規制の動きが強まっています。この件についてはそのうちまとめて、と思っているのですが、えーと。
 この問題について産経は、いままで比較的沈黙を保ってきました。「自民党を批判しない」「右派の主張は積極的に取り上げる」という基本スタンスと、オタク層をこれ以上敵に回せない(もしくは記者自身にオタク志向が強い)という理由からの規制反対で、沈黙せざるを得なかったのでしょう、と、これは憶測ですが。しかし今回、民主党の左派議員が、民主党寄りの人間*1から見ても眉をひそめるような請願を提出したことから、思いっきり円議員を非難しています。いつもの産経だったら「掲示板炎上」といって煽るのでしょうが、この記事では批判側にたいへん好意的な書き方になっています。
 表現規制の動きは右派左派両方から出ていて、この件に関するかぎり、そうした区別自体が無意味だろうと思います。他のあらゆる対立軸と独立して規制への賛成派と反対派が存在すると考えなければならないのでしょう。実際には多少連関するところもあるのですが。左右を決めた上で相手をからかうことが多い(たとえば上記の産経の姿勢など)当blogとしてはやりにくかったりします。この問題は、表現の自由、思想の自由、内面(趣味や思考)の自由を重視するか否かにもかかってきて、この立場は、右側規制派が「風紀」を持ち出してきてもなんともないのですが、左派規制派から「被害者の人権」を持ち出されると、かなりの理論武装が必要な立場でもあります。それだけ、伝わりにくいということです。


 ここでようやく、hagakurekakugoさんの関連エントリにコメントできます。直接コメントしようと思ったのですが、これだけ端折ってでさえここまで長文になってしまうので、Trackbackとさせていただきます。

エロゲって必要なのか? - 解決不能
http://d.hatena.ne.jp/hagakurekakugo/20080522/p1

 この表題の疑問に対しては、「ある種の人々にとっては絶対に必要なものです」というのが答えです。かつて、勝手に発生して、勝手にここまで大きくなった表現ですから、そこには理由があるわけです。ぶっちゃけた話、三次元では性的興奮が起こらず二次元でなくてはダメ、という性的嗜好が存在するわけです。これに関しては誰にも迷惑がかからず、「風紀を乱す」という問題以外に存在しないので(「子供が見てしまう」というのはまったく別の問題です)、「勝手にさせてくれ」としか言いようがありません。
 ただ、エントリ本文や進行中のコメント欄を見ると、hagakurekakugoさんの問題提起は、実は(エロゲに代表される)二次元表現ではなく、いわゆるロリコンペドフィリアに対するものであるようです(間違ってたらごめんなさい)。実は円議員の提出した請願も、二次元ではなくペドフィリアを問題視するものです。ペドフィリア*2性的嗜好のひとつですが、三次元=実在の人物を対象にした場合、相手を必ず傷つけてしまい、「被害者の人権を侵害する」という、根本的な問題を抱えています。この性的嗜好を発散させる唯一の方法が、二次元表現であるわけです。従ってその意味でも、エロゲ(二次元の性的表現)は絶対に必要なものとなります。
 少なくとも日本の社会では、自己の性的嗜好(または性的指向)を公にすることがはばかられる風潮があります。ここではその是非は問いません。たとえば同性愛も性的指向のひとつですが、同性愛者の権利確立を求める運動は、日本ではなかなか大きくなりません。ペドフィリアは同性愛者以上に公言しにくく(上記の被害者の人権問題が前提になるため)、この権利――二次元でいいからペド趣味を認めろ――を求める声は、まったく大きくならず、そういう意見が存在することすら、目に入らないこともありえるわけです。ただ、この文章を読まれた方は、こうした考え方が存在することを――賛同しろとは言いません、存在を知るだけでいいのです――覚えていてほしいと願います。

*1:選挙のときには民主党に入れますが(というか自民党には絶対に入れませんが)、わたしは民主党を全面的に支持しているわけではなく、今回の円議員のような動きや松原仁議員などの言動には批判的です。それでも大枠で民主支持である最大の理由は、児ポ法制定当時に枝野幸男議員が二次元規制を食い止めてくれたことに、おたくとして心から感謝し、枝野議員の所属政党として支持しているためです。

*2:厳密には違うのですが、子供に見える存在が対象でないと興奮しない性的嗜好を仮にこう呼んでおきます。