黙然日記(廃墟)

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産経、防衛省改革を求める。

【主張】防衛省改革 実効性ある「混合組織」を - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/146921/
先の戦争で旧軍を統制できなかったことが、背広組(文官)が制服組を押さえ込む「文官統制」の悪弊をもたらし、守屋武昌前防衛事務次官汚職事件の一因にもなった。制服という軍事専門家が、自衛隊の運用などが絡む基本方針の策定から原則排除されるという不可思議なこともまかり通っている。

 防衛省による改革案について、産経が意見を述べています。まず「文民統制」と「文官統制」を区別して、後者がいけない、という前提に立っているのですが、両者の違いを説明していないので、わかりづらい文章になっていますね。「文民統制」は軍の根本のところを選挙を通して選ばれた内閣や国会が押さえること、「文官統制」は防衛省で採用された背広組が制服組を統制することで、たしかに区別は必要です。
 しかし、「制服組にはとにかく権限を渡すな、戦争より汚職の方がマシだ」というのが、我々が先の戦争で得た教訓です。汚職や利権の排除はたしかに必要ですが、その口実があればなにをしてもいいわけではありません。背広組の権限を絶対的に縮小することが解決策であって、それは制服組の権限を相対的にせよ絶対的にせよ伸ばすことを意味しません。内閣や国会の機能強化で解決すべきことです。これは防衛省に限らず、各省庁改革などに見られる政治と官僚の対立構図でもあるわけですから、解決策も同じように一般的な方法がまずとられるべきでしょう。
 防衛省改革案の基本は、三軍統合による効率化のようです。産経はこの点を重視して批判していますが、知識不足のためわたしには判断しかねます。しかし、防衛省も産経もなにか話をそらそうとしているのではないか、という疑念がわき起こります。汚職問題につけ込んで、制服組の権限を強化しようとしているのではないか。官僚の論理はともかく、民間ではこういうのを火事場泥棒といいます。