黙然日記(廃墟)

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産経「正論」、マケイン勝利を妄想する。

【正論】佐々淳行 マケイン候補の勝利を願う - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/133363/

 米国の民主主義はわずか200年の歴史しかない未熟なものだから、WASP男性のマケイン候補が勝つのは当たり前、みたいな言いぐさから始まります。日本の民主主義はたかだか80年(中断期間含む)ですから、まともな首相を選べないのも当然、ってことになりますかね*1
 対中・対北朝鮮で日本の味方になってくれる米大統領を、とか言われても、日本の保守派は、ブッシュ現大統領に裏切られたという自覚はないんでしょうか。もっとも、べつに信頼関係を裏切られたわけじゃなく、勝手な期待を裏切られただけですから、さらに勝手な期待を持ち出すのも自由なんですけどね。外国の政治家ではありませんが、“保守派のプリンス"として圧倒的な期待をかけられた政治家が、裏切りというか自爆をやらかしたことなども、記憶にとどめておいていいと思いますよ。その前にそもそも、米国大統領は米国の国益のみで判断するという当たり前の事実を、認識してほしいとも思います。

マスコミは少なくとも3候補のアジア政策、とくに対日・対中国政策を、日本の国益という観点から分析評価し、国民に誰が一番いいのかその利害得失を解説するのがその任務ではないのだろうか。

 産経新聞の紙面では古森義久記者を中心に、「日本の国益」(と思っているもの)しか考えない候補たちの比較がずいぶん行われているので、これを産経新聞の紙面で訴えてもさして意味はないでしょう。産経新聞しか読んでいない読者にとっては、「ちゃんとマスコミは分析しているじゃないか、なにを言っているんだ」と思うところでしょう。あ、佐々氏にとって産経はマスコミじゃないってことかな。
 しまいには日露戦争当時のセオドア・ルーズベルト大統領を持ち出してきているんですが、日本が朝鮮半島を植民地化するのに協力してくれたという理由でルーズベルトの再来を願っているかのようです。「マケイン政権ではホワイトハウスペンタゴン親日派で占められることも夢ではない」に至っては、夢というか妄想のレベルですね。日本の防衛政策にいちばん詳しいとされている人が、ここまで夢想家だとは思いませんでした。

おまけ。

マケイン氏「米軍撤退ならイラクで大虐殺」 - asahi.com
http://www.asahi.com/international/update/0328/TKY200803280003.html

 マケイン候補の外交についての発言です。大虐殺のような事態が起きないように民主主義政権を作るという目的があって米軍が駐屯しているはずなのですが、なんだか手段も目的もごっちゃになってしまったようです。5年前の「勇ましく攻め込むぞ」という判断の責任と、現在の、すでに泥沼にはまって容易に足抜けできない状況への判断とを、混同して語ってはいけないのですが。
 ロシアの現状についても滅茶苦茶なことを言っているんですが、こういう20年前で頭が止まっててソ連が崩壊したことも認識できていないような人に、超大国の政治を任せて大丈夫なんでしょうかね。

*1:しまった、これじゃ佐々説を補強だ。