黙然日記(廃墟)

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産経、集団自決訴訟判決を解説する。

 本日、沖縄集団自決訴訟で大阪地裁が常識的な判決を出したことはもう皆さんご存知だと思うので、詳細は略します。ここでは産経の牧野克也記者による解説記事を見てみましょう。

【視点】司法の使命を放棄、上級審で救済せよ 沖縄集団自決訴訟判決 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/133444/

 「公正な目で真実を見極めるべき司法の使命を放棄したに等しい」だそうです。他者に対しては公正と真実の追究を放棄しないように求める産経新聞です。
 この記事には根本的な間違いがあります。裁判で問われたのは「名誉毀損が成立するか」という“真実"であって、「沖縄戦でなにがあったか」の“真実"ではありません。名誉毀損の成立条件として出来事の“真実"が求められる場合もありますが、法律上の名誉毀損の概念は「真実であると信じるについても相当の理由があった」場合には成立しないので、この裁判の場合は、被告側にその理由があるかどうかの“真実"を認定するだけで足りるわけです。
 記事の間違いは上記のとおりですが、牧野記者がこのぐらいのことを理解していないとは思えません。勘違いによる間違いでなければ、ミスリードを狙った意図的な間違いなのでしょう。
 判決要旨はこちら。こういう場合に産経新聞の記事をソースにするのもどうかと思いますが(笑)。

沖縄集団自決訴訟 判決要旨 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/133437/

 名誉毀損不成立の判断理由は【4】の後半をご覧ください。ついでに【3】を見ると、原告側の主張は却下されまくりですね。