黙然日記(廃墟)

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産経、性教育とジェンフリを混同する。

「発展的に性教育」削除 文科省、異常授業に待った - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/education/127756

 見落としていたのですが、荻上式BLOG http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20080306/p2 経由で。自民党のプロジェクトチームが「実例」を元にいちゃもんを付けたことと関連づけて、文科省が待ったをかけた、と報道しています。しかし要約すると、文科省が示す性教育指針から「発展的に取り扱えるようにする」の文言が削られた、というたけのものでした。この文言を根拠に“過激な性教育"が行われてきた、というのが記事の主張です。
 記事では、あくまで文科省の判断として「これらを踏まえ文科省では、この指針を効果的な性教育の事例紹介に改める」としたことになっているのですが、「これら」の根拠を記事中から探すと「「この文言が指導要領を大幅に逸脱した過激な性教育を行う温床にもなっている」との指摘が国会議員などから出ていた。」「自民党のプロジェクトチームが平成17年7月に公表した調査結果によると(中略)異常な事例が発覚している」の2点しか示されていません。
 この自民党のプロジェクトチーム(PT)、正式には「過激な性教育ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」は、2005年に安倍晋三座長・山谷えり子事務局長体制で始まり、上記のように2005年にはいろいろ大々的にぶち上げていました。その後、いったん逢沢一郎座長体制に変わったようですが、現在はどうなっているのかまったく不明です。組織や参加者はおろか座長さえ自サイトで公開されていないPTが政治的な力を発揮したということだと、かなり異常な話であります。*1


 iza!ではこの記事関連として、写真と図版の取り込みが計5点紹介されているのですが、そのうち図版取り込みの2点は“過激な性教育"とはまったく関係ない(そもそもキャプションだけでは教育問題と関係あるのかすら不明な)“ジェンダーフリー"に関するものです。「子供が遊んでいるところを描くときは男女いっしょに」というガイドラインが“過激な性教育"だったら、産経の考える“まともな性教育"とは、いったいどんなものなのでしょうか*2。「男女七歳にして席を同じゅうせず」で、国民学校を復活させようというあたりでしょうかね。
 記事では最後に、第三者めかした桜井祐子氏のコメントを引用していますが、この人は山谷えり子・PT事務局長のお仲間ですね*3。素直に山谷氏本人がコメントを出すべきところだと思うのですが。

*1:そもそも自由民主党のサイトは、有権者の判断に必要な情報を公開しようという姿勢が見られないし、検索機能もサマリーがまったく役に立ちません。まあ、民主党サイトもあるていど似たようなものですが。

*2: http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/education/127756/slideshow/65031/

*3: http://d.hatena.ne.jp/pr3/20071125/1195967805 参照。