黙然日記(廃墟)

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産経、漢字も読めず常識もなく。

うつ状態の客への販売は不当 大津地裁判決
http://s04.megalodon.jp/2008-0229-0844-41/www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/126334

 見出しの時点で問題があるな、と感じました。鬱病者は自己否定の感情が強いので、この見出しを見て「鬱になると物も売ってもらえないのか」とさらに悲観的になるかもしれません*1。せめて「鬱状態の客への過剰な販売は不当」とかになっていればまだいいのですが。しかしそれにしても、どういう状況なのかよくわからないので、本文を読んでみました。

 双極性鬱病(うつびょう)で躁状態となり、正常な判断ができない間に高額な着物などを次々に買わされたとして(訴えた裁判で)裁判長は訴えの一部を認め、会社側に約168万円の支払いを命じた。原告側代理人によると、躁状態の人への販売を不当と認めた判決は初めてという。

 これはひどい。産経の記者は漢字が読めないのか? 「躁状態」を「うつじょうたい」と読むと思っているのか? 一歩譲って「双極性鬱病」を「鬱病」と略すのはありだとしても、「鬱状態」の双極(反対側)である躁状態への販売は不当という判決であることが、理解できないのでしょうか。
 そもそも「双極性鬱病」なんて症状はあるのか。医学用語としては躁鬱を繰り返す状態は「双極性障害」です。ぐぐったところでは、テレビ番組で使われて一般に流布した言葉のようで、医学関係者による用例はほとんど見あたりません(あるにはあるようですが)。双極性障害の鬱局面をこう表現するとしても、それに対して躁局面も存在して判決はそれに関したものなのですから、どうしても書くなら「双極性躁病」でしょう。
 いくら精神医学について無知も、躁鬱の区別は常識レベルだと思うのですが。

*1:わからない人にはばかばかしい思いこみにしか見えないでしょうが、没論理な思いこみをするから病気とされるのです。