黙然日記(廃墟)

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古森義久氏、ジレンマを克服する。

柔道の山下泰裕氏がアメリカを訪問する――日本柔道の国際性
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/487837

 柔道のみならず日本スポーツ界が誇る山下泰裕氏が、明日から訪米されるそうです。それにあたり、加藤良三駐米大使の人脈を通して、古森氏がコーチを務めるクラブで実技講習を開いてくれるぞ、大入り満員だぞ、という、まあ例によって微笑ましい自慢話ですね。
 自慢話のあとに、2003年に山下氏が訪米したときのコラムも引用されています。ここで5年前の古森氏は、山下氏あるいは日本柔道界が当時直面していた、柔道の国際化と伝統維持のジレンマに言及し、日本そのものにもこのジレンマがあることを示唆しています。この点、鋭いコラムだと思います。しかし現在の古森氏は、このジレンマを感じていないようですね。解決したわけではなく(本質的には永遠のジレンマでしょう)、感じていないように見えます。上記の実技講習会に、米国人が日本(の柔道)にあこがれてぞろぞろやってくるぞ、という自慢話があるのですが、そこで満足してしまっている、あるいは満足しようと努力している、のかもしれません。
 サッカー(アソシエイションフットボール)はイングランド発祥のスポーツで、世界中で愛されています。イングランドのトップ選手、たとえばベッカムが実技指導してくれるとなれば、日本中のサッカー愛好家が目を輝かせて集まってくるでしょう。それはイングランド(あるいは連合王国)にとって誇らしいことではあるでしょうが、それだけで「サッカーはイングランドの伝統を守りつつ国際化した」と思い満足する人は、いるでしょうか。まあ、満足してしまう人に対しては、「それはよかったね」と言うしかありません。
 ところで、最後に山下氏とプーチン・ロシア大統領が並ぶ写真を引用しているのは、どういうつもりなんだろう。柔道家イコール人格者ではない、ということを示す二例のうちの一人じゃないかなあ、と思うのですが。