黙然日記(廃墟)

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産経花岡氏、新説を披露する。

【政論探求】「南京の真実」官邸で試写会を - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/asia/119156

 おなじみ、花岡信昭産経新聞客員論説委員です。自らのblog*1でもこの記事とは別に絶賛していますが、よく飽きないな、と。
 そもそもの話としてこの映画、少なくとも今回試写された第一部は、東京裁判を扱った映画になっており、南京事件*2のドキュメンタリーでもなんでもなかったようなのですが、そのへんは気にならないんでしょうかね。


 例によっていろいろ面白い記述があるので、引用しつつツッコんでみます。
 「濃密な映像」と花岡氏は絶賛していますが、今回上映された3時間版から、今後上映される分は30分ほどカットしたものになるそうです。それ、普通に言って未完成版ですから。

A級戦犯」7人の処刑までの最後の一日をドキュメントタッチで描いたものだ。当時の巣鴨プリズンを再現、俳優たちの凜(りん)とした演技がなんともいえない重さを持って伝わる。

 この映画は、ドキュメンタリーのように見せているが俳優の演技等によって成り立っているフィクションであることは、どうやら花岡氏にも認識できているようです。制作者も「ドキュメンタリードラマ」と称しています。再現フィルムの信頼性をどう考えるかは、映像に対するリテラシーの基本になるものなのですが、その点についてははたして認識できているのでしょうか。

「南京」「慰安婦」「百人切り」など、謀略プロパガンダによって仕立てられた虚構

 「百人切り」は「南京(事件)」の一部、「(従軍)慰安婦」はまったく別の問題なのですが、「虚構」の一言で同一レベルとして列挙してしまうんですねえ。「百人切り」が謀略プロパガンダなら、当時の日本の大新聞が外国勢力のプロパガンダに協力していたという、常識を超えた新事実が浮かび上がるわけですが。

米下院の「慰安婦非難決議」の背後には、中国や韓国の在米プロパガンダ団体の「カネと票」を武器にした暗躍が伝えられている。

 伝えているのはほぼ古森義久記者一人、少なくとも大手マスメディアでは産経新聞ワシントン支局発の記事ぐらいしか見あたりません。

略奪だのレイプだの30万人虐殺だのといった事態がなかったことは、その後、国民党政府が外国人記者に行った300回の記者会見でただの一度も言及されていないことでも証明されている。

 虐殺はともかく、略奪やレイプがあったことを否定する人は、いわゆる「まぼろし」派の論者にもいないのではないでしょうか。マスメディアで「略奪・レイプもまぼろし」説を唱えた最初の人物として、花岡氏が栄誉を担ったかもしれません。「恥辱を担った」というべきかもしれませんが。*3


 この映画の賛同者の一人である花岡氏としては、なんとか成功させたい(成功したことにしたい)のかもしれませんが、謀略プロパガンダはなんにせよいただけませんね

*1: http://hanasan.iza.ne.jp/blog/entry/463999/

*2:今までこのblogでは、問題のすり替えを防ぐ意味で「南京大虐殺」と表記していましたが、虐殺だけでなく略奪やレイプも含めた問題であるという意見を知って一理あると思い、今後は「南京事件」と表記することにします。またなにかのはずみで考えが変わるかもしれませんが。

*3:この部分のツッコミは、2ちゃんねるマスコミ板の「南京の真実」スレから拝借しました。http://society6.2ch.net/test/read.cgi/mass/1194229739/515