黙然日記(廃墟)

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産経「正論」、藁人形も叩けず。

【正論】渡部昇一 歴史問題は時事問題である-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/115438/

 統一協会の広告塔としておなじみ、渡部センセイの登場です。期待どおり、もう全編ツッコミどころなのですが(とりあえず、渡部氏の脳内では南京大虐殺が「虚構であることが完全に証明されている」そうです)、後半でパール意見書について集中的に取り上げているので、その点について。
 渡部氏は、「パール博士は平和主義者で日本の戦争犯罪を許してはいない」という意見を「奇怪な妄論」と退け、個人の主義や思想が判決に影響することがあってはならない、もちろん“パール判決"もそうだ、と論証しています。これはまったくそのとおりです。しかし、というか、だからこそ、バール博士個人の平和主義は意見書に影響を与えず、「日本無罪論(というより有罪不成立論)」という結果を導いたわけです。逆に言えば、意見書の内容からパール博士の(法学者としての主張ではなく)個人的な主張を導くことはできないのですから、彼の個人的な主張を論じるときに意見書を持ち出すことは無意味です。パール博士の個人的な主張をこの文章から探せば「私は日本に対する好意であの判決書を書いたのではない」という部分だけで、これは「妄論」の、少なくとも傍証にはなるのではないでしょうか。渡部氏の論は、藁人形を叩くレベルにすらなっておらず、ただの藁束に頭から突っ込みもがいているようなものです。
 さしものiza!ブロガーたちもこの「正論」には賛同しかねるのか、現時点で関連づけは6本、しかもちゃんと内容に関係していそうなのは2本だけですね。あるいは、渡部氏の存在がさすがに無視されはじめているのかもしれませんが。