黙然日記(廃墟)

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産経「主張」、教育再生会議を支援し続ける。

【主張】「道徳」見送り 教科化へさらなる議論を-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/85524/

 安倍晋三・現内閣総理大臣*1肝煎りだった教育再生会議の提言内容を、中教審があっさり切り捨てたことについて*2、産経「主張」は恨みがましく未練たっぷりに批判しています。どうせなに言っても、遅くとも年内に廃止される会議なのになあ。
 この「主張」に対する真面目かつ真っ当な批判は、たとえばkaikai00さんの http://d.hatena.ne.jp/kaikai00/20070920/1190243080 あたりを見ていただくとして、産経の言っていることが矛盾だらけでどうにも。たとえば「教科には(1)点数での評価(2)教員免許(3)検定教科書――の3条件が必要」としておきながら、(1)(2)の条件は不可能として無視し、つまり教科「道徳」を最初から半人前の扱いにして、それでも強引に(3)の検定教科書だけ作ろうとする――作ればそれで事足れりという主張は、本当に「道徳」を教科として子供に教えたいという意欲はまったく感じられず、なにか別の意図があるとしか思えません。たとえば、グループ企業である教科書出版社育鵬社の事前広告だとか。いや、この場合、自己宣伝ならまだましなんですけどね。
 教育再生会議の方針はすべて正しい、反対する者はすべて邪悪な抵抗勢力、という図式化は、この1年間産経新聞が繰り返してきた主張です。教育再生担当首相補佐官であり教育再生会議の事実上のリーダーである山谷えり子が、産経新聞子会社の編集者からそのまま国会議員に立候補し首相官邸に潜り込んだ存在であることに象徴されるごとく、教育再生会議の方針はほとんどそのまま産経新聞や扶桑社/育鵬社の教科書とイコールで繋がっていることを考えると、この「主張」はたしかに産経の主張であり、社説なのでしょう。どうせたいして社会的影響力もない新聞社がどんな主張をしようと構わないのですが、表に出せないような方法で実政治に手を突っ込んで教育現場の混乱を招き、ひいては子供たちの未来を私物化しようと目論んで結果として押しつぶすのなら――これこそ最悪の売国行為ではないでしょうか。

*1:もはや信じられないことですが、形式的には彼がまだ日本国の最高責任者なのです。

*2:中教審文科省は最初からそのつもりだったのだろうとはいえ、状況の変化に対するこの手のひら返しも、産経とは別の意味で呆れますね。