黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

また産経の捏造報道が発覚。

asahi.com産経新聞、未確認の投書で記事 宇治山田商の応援団服装
http://www.asahi.com/national/update/0830/OSK200708300066.html
 第89回全国高校野球選手権大会に三重代表で出場した宇治山田商の応援団の服装をめぐり、産経新聞大阪本社発行の16日付朝刊に「『戦争想起』投書に過剰反応?甲子園で学ラン封印」とする記事が掲載された。「学ランはもともと海軍の軍服で、戦争を思い起こさせるのは不適切」とする投書が他の学校に届き、県教委の連絡を受けた宇治山田商が、県高校野球連盟と協議して学ランをトレーナーに変更した、とする内容。だが同校や県教委、県高野連は事実関係を否定し、投書の存在も確認されていない。
 産経新聞は「学校関係者への取材に基づいて書いた。捏造(ねつぞう)ではない」としているが、投書の確認や県教委への取材をしなかったことを認めており、実在しない投書をもとにした記事だった可能性が強まっている。

 なるほど。該当記事はすでに削除されていますね。

iza:イザ! http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/topics/76840
SANKEI-Kansaiのキャッシュ via 美しい壷日記さん http://dj19.blog86.fc2.com/blog-entry-128.html

 もう一度、朝日記事から引用。

 〈森脇睦郎・産経新聞大阪本社社会部長の話〉 宇治山田商が4年前の全国大会でトレーナーを着用したことは事実なので、この点については訂正に応じる。しかし、投書の存在に関しては、学校関係者の発言に信憑性(しんぴょうせい)があると判断して記事にしたので、その信憑性が完全に否定されるまでは訂正しない。

 16日の時点ですでに問題になり、朝日の調査も23・24日に行われたのに、まだ確認が取れていないのでしょうか。記事で取材した“学校関係者”が誰だかは産経側ではわかっているはずだし、半月かけてまだその人物から確認が取れていないというのは、おかしな話です。
 最初に「朝日新聞社がバックにいる大会だからお花畑平和ボケで学ラン忌避の風潮があるに違いない」という思いこみがあって、たまたまOBの寄付したトレーナーでの応援に切り替えた宇治山田商のことをそれに結びつけた、ととりあえず推測できます。その短絡をしたのが“学校関係者”で産経に持ち込んだのか、産経自身が短絡してこの記事を捏造したのか。後者なら論外ですし、前者だとしても、一人の話だけを信じて裏をまったくとっていなかったというのはやはり論外で、報道機関としての根本的な姿勢を疑われるところです

続報・捏造記事の続報。

 コメント欄でpipiさんが引用してくださいましたが、宇治山田商関係のその後の記事でも学ラン問題に触れていたようです。

全国高校野球選手権 甲子園再試合 宇治山田商心残り(産経新聞) - goo ニュース
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/e20070816007.html

 他紙の記事(朝日と読売)にも応援団顧問教師という方の名前は出ているので、この方はたぶん実在するのだと思いますが、この記事にある彼のコメントがどこまで信用できるものなのか……。

続報・産経、経緯を説明する。

宇治山田商「学ラン“封印”」報道について|野球|スポーツ|Sankei WEB
http://www.sankei.co.jp/sports/baseball/070831/bbl070831002.htm

 産経新聞としてのコメントが出ました。要約すると「うちは間違ってないもん。悪いのは朝日だもん」だそうです。“学校関係者”と生徒だけの取材で、実際に学ラン取りやめの判断をしたはずの学校側や県教委への取材をしていないことは(言及していないという形ですが)認めているようですね。ひとつだけ可能性として、“学校関係者”が野球部長の教師、あるいは校長教頭クラスの人物だったら話は別なのですが、もしそうなら最初の報道の時点でも、今回の説明記事の中でも、関係者の身元を明かせない理由があるとは思えません。
 夕刊フジZAKZAK)が、実際には内部事情などまったく知らない“関係者”を捏造して思い通りの記事を書く手法をとっていることはこのblogでも何度か追求していますが、同じ産経新聞社の出す新聞で同じ手法が使われているかもしれない、と推測するのは、強引ではないと思います。産経新聞がこの推測に文句があるんだったら、まず身内をなんとかしてからにしてください。

追記・気付いたこと。

 削除された最初の記事の中で、こんな発言があります。

同校の教諭は「私自身もOBで、学ランで甲子園に来た思い出があるので名残惜しいが、大会期間中に終戦記念日もあり、繊細な問題なので断念した」

 過去、宇治山田商夏の甲子園大会に出場したのは1978年・2003年。4年前の生徒はまだ教師になれないから、この教諭は29年前に在学していたことになります。つまり、現在44歳〜46,7歳。応援団OBが教師として赴任して応援団顧問になることは十分に考えられますし、この発言をした教諭は秦良則・応援団顧問(44歳)と考えてよさそうです。ここで注目したいのは、「断念した」と自動詞で語っていること。もちろん応援スタイルの最終決定は顧問教諭がするのでしょうから、これ自体は不自然ではないのですが。そしてどの記事を見ても、生徒たちは「学校から(おそらく秦教諭から)指示された」と言うだけで、背景についての証言は(当たり前ですが)ありません。このへんに、なにかヒントがありそうな気がします。