古森義久氏、藁人形を叩く。

原爆投下は戦争を終わらせるために必要だったのか-ステージ風発：イザ！
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/259972

　文章量としては今年7月28日付「緯度経度」の丸ごと引用が大半ですが、これについては http://d.hatena.ne.jp/pr3/20070728/1185625401 ですでにツッコミ済みなので、添えられたblogの文章について。「安らかに眠って下さい　過ちは繰返しませぬから」という原爆死没者慰霊碑のことばについて、主語が不明で自虐的だ、との主張を繰り広げています。

「春風夏雨」vol.80「慰霊碑と藁人形―『安らかに眠って下さい　過ちは繰返しませぬから』の意味―」
http://www.city.hiroshima.jp/www/contents/0000000000000/1185346372921/index.html

　こちらは、秋葉忠利広島市長が今年7月25日付で広島市メルマガに発表したエッセイです。碑文の作者及び広島市歴代の公式見解として、この文章の主語は『人類』であることが述べられています。古森氏がしている浅薄な、かつ恣意的な読み方に対する痛烈な反論でもあります。
　誰かの発言を自分に都合のいいように解釈して“敵”を作りそれを叩く行為を、最近のblogや掲示板ではよく「シャドーボクシング」と表現しますが、秋葉市長は「藁人形を作って叩く」という英語の表現を引用しています。秋葉市長が直接的にそういう意図で書いたわけではないと思いますが、古森氏へのピンポイント批判とも読める文章ですね。それだけ、古森氏の文章が類型的かつ通俗的ということでもあります。

　というように批判してみましたが、古森氏は実は、碑文の主語問題は承知した上で、意図的に藁人形を作っているのではないか、と思える節もあります。「普通に読めば」とか「少なくとも碑文を文字通り読んだ解釈だけからでは」とわざわざ註釈しているのは、主語問題は解決済みだと指摘されたときのために、逃げ道を作っているとしか思えません。勝手に誤読して思いこみで攻撃するのもみっともない行為ですが、理解した上でミスリードを狙い読者をだます、あるいは信者に媚を売る行為は、詐欺師や悪徳宗教家やデマゴーグの手法です。