黙然日記(廃墟)

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ネットの言論と名誉毀損に関する2題。

2ちゃんねると読売新聞。

4月2日付・読売社説(1) : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
[匿名掲示板]「中傷“無法地帯”は放置できない」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070401ig90.htm

 既成メディアがインターネットコミュニティ、特に匿名掲示板、中でも2ちゃんねるを敵視するのは珍しい話ではないのですが、社説で正面からケンカ売ってくるのは珍しいですね。一部では、ひろゆきblogのこの記事が読売の神経を逆撫でしたのでは、とも言われていますがw

東スポと読売 : ひろゆき@オープンSNS
http://www.asks.jp/users/hiro/21531.html

 いやまあ、どっちが先か、って感じでもあるかな。引用されているメールの文面が本当だとしたら、読売は最初から2ちゃんねるひろゆき)を敵視してかかっているということでしょう。あるいは単に、読売の記者は社会的な常識を持っていないために、どの取材先にも同じような口の利き方をしているのかも、という推測もできますが。
 ひとつ、重要な点を指摘しておきますが、訴訟沙汰になった件にしろなんにしろ、ひろゆき自身が誰かを誹謗中傷したわけではなくて、誰かが他人を批判する権利をひろゆきが守っているだけなんですね。この権利が守られなければ社会の発展も民主主義も成り立たなくなるので、こうした価値観を持つ人なら誰もが、この権利を守ろうとしなくてはなりません。誰かに任せるのではなくて。
 長年見てきて思うのですが、2ちゃんねるにある情報の99%は信頼できるものです。信頼できない内容の誹謗中傷や無根拠の宣伝は、見ればなんとなくわかるものです。そういうものを除いて99%、ってことですね。もちろん、全員が同じレベルのネットリテラシーを持つことは期待できませんから、それをもって対策とするわけにはいかないでしょうが、外的な規制で「他人を批判する自由」を制限することが、正しいとは思えません。
 それにしても読売新聞のこの社説、言論の自由という言葉がひとつも出てきませんね。言論の自由も大事だが中傷する自由はない」ということぐらい、どこかに書いてあってもよさそうなものですが。メディアは第四の権力ですが、なぜ権力として成り立っているのか、最初から考え直してみてはどうでしょう。世界最大の新聞社がド素人のbloggerからこんなことを指摘されるのも、たいへん情けない話です。

Wikipediaイオンド大学

 関係あるようなないような話題ですが、[Wikipedia:イオンド大学]に対して、名誉毀損であるとして株式会社イオンド大学からの削除依頼が出ているようです。ノートも含めて複雑な議論になりつつあります。

Wikipedia:削除依頼/イオンド大学 20070329 - Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/Wikipedia:%E5%89%8A%E9%99%A4%E4%BE%9D%E9%A0%BC/%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%89%E5%A4%A7%E5%AD%A6_20070329

 「イオンド大学グロービートジャパン(と日本平和神軍)はお互いに無関係」とそれぞれが主張し、関連があるとする記述を名誉毀損の理由のひとつにしているのですが、それにしては、裁判をちらつかせて削除を要求するなどのやり口がそっくりなのはなぜでしょう。WikipediaだけでなくGoogle八分についても同じやり口を使っていましたね)。
 「イオンド大学はディプロマ・ミル(学位販売業者)である」と書いたら名誉毀損なのかもしれませんが、「〜という批判もある」のは客観的な事実で、これが書けなくなったらWikipediaの存在価値、ひいてはネット上の言論の自由が存在しなくなります。脅迫的な方法でこういう手段に出る組織があることは、広く知られていてほしいと思います。
 ところで、この議論で指摘されて気がついたのですが、Wikipedia(少なくとも日本語版)には訴訟を受け付ける窓口がなかったんですね。ちょっとびっくり。あえて言えば記事編集者一人ひとりが責任を負うわけですが、記事を閲覧して「ここは違う」と思ったのに編集をしなかったユーザにも不作為の責任があります。ちなみに、[イオンド大学]の記事には、今回削除依頼をしてきた関係者が編集した形跡はないそうです。