黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

古森義久氏、自爆する。

 某有名記者、もとい、古森氏のblogから。これも別の意味で気が重くなるような記事なのですが。

「軍による強制はなかった」−−元関東軍軍人からの書簡
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/136328

 やっとダッシュがまともに――まともではないけどなんとか常識的なレベルに。
 満洲に駐留していた旧軍人Uさんからのお手紙だそうです。Uさんが満洲慰安所で経験したふたつのエピソードが書かれているのですが、最初のエピソードは、まあそういうこともあるだろうと。慰安婦全員が強制されていたなんてことは、(たぶん)誰も言っていません。
 次のエピソードは、慰安婦が日本の政府による強制ではない、いわゆる狭義の強制はなかったと主張しているのだと思われます。しかし(最初のエピソードについても同じことが言えるのですが)、ある一人の慰安婦が広義の強制で連れてこられた、または強制性がまったく無かったことが証明されても、全体の中で狭義の強制がなかった証明にはなりません。まさかこんな論理学の初歩で古森さんが間違えているとは思えないのですが、どういうつもりなんでしょう。*1
 そして、彼女の父親に前借り金が渡されて、その借金返済のために慰安婦として連れてこられた、ということがはっきり述べられているのですが、これは立派な人身売買行為ではないでしょうか。そして人身売買によって性労働を強制された人を、英語では"sex slave"と表現します。米下院の決議案にある"sex slave"という言葉に、古森氏は異様に憤慨しています。しかしこの手紙は、古森氏の主張に対する反証そのものなんですが、はたして彼はこの事実を理解しているのでしょうか。
 ついでに、「○○人」という部分を伏せ字にしている意味がよくわからないのですが、たぶん「朝鮮人」だろうと推測されます。で、当時の朝鮮人の国籍は日本で、朝鮮人の犯罪は日本人の犯罪である(現在の東京人の犯罪が日本人の犯罪であるのと同じように)というあたりまえのことも、いちおう指摘しておきます。「日本人の犯罪」と「日本国の犯罪」では意味が違うのも、またあたりまえですが。

*1:Uさんが勘違いしている可能性は否定できませんが、それはここで指摘してもしかたないし。