黙然日記(廃墟)

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産経「正論」の政府観。

 ついでのように。英語がろくにわからないのにこういう批判をするのはどうかという話もありますが、日本語の範囲で考えられることなので。

【正論】藤岡信勝 リンカーン演説と「戦後民主主義
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/seiron/34774/

 "Government of the people, by the people, for the people"を「人民の、人民による、人民のための政府」とするのは誤訳で、「人民を統治する、人民による、人民のための政府」とするべきだ、というお話。藤岡氏は「人民の」という訳語では意味が通じない、と憤ってらっしゃいます。
 で、それこそドメインの話じゃないけど、「所有」と「運用」って、別の概念じゃないの? 「人民が所有する、人民が運用する、人民のための政府」という意味で、別に問題はないと思うんだけどなあ。たとえば絶対君主制では「君主が所有する、君主(に従う官僚)が運用する政府」だし、立憲君主制では「君主が所有する、人民が運用する政府」なわけだけど、民主主義の政府はそれとは違うぞ、ということでしょう。「人民の」という訳語に問題がある、という点には同意しますが。