黙然日記(廃墟)

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今月買った本。

 とりあえずやってしまわないとということで、少女マンガから。
 例の本も買ったので、近日中に書評します(まだ読み終わってない)。

 陣名まいも、もうちょっと評価されていい作家だと思います。いろんな意味で早すぎた作家で、たとえば今、メイドものを描くというとブームに便乗したように見えますが、以前からずっと執事やメイドを描いてたわけだしね。今までは「ちゃお」の中でなにがしか制約されていたように見えましたが、「ちゅちゅ」という舞台を得て今後が期待されるところ。本当を言うと、青年誌で描いた方がのびのびやれるんじゃないかとも思っていたりしますが。
君のオーダー★メイド

 わはははは。こう来たか。あとがきにもあるように、大ヒット作のあとで作者もかなり悩んだだろうし、普通のラブコメでいってほしかった気もするんだけど。まあ、あれです。篠塚ひろむの作風を知った上で、表紙買いすることをお勧めします。「ミルモでポン!」最終巻のあとがきに次回作のヒロインが描かれたのを見たときからある意味で予測していたんだけど、性格の悪い主人公を描かせたらピカイチですね。
恋するプリン! 1 (1)

 原作の藤宮様は、美人だ美人だ言われてるだけでたいして魅力的な言動もなく、あまりピンと来なかったのですが*1、場面ごとに表情が描かれるマンガはいいですねやっぱり。ちゃんと美人で上品で、それだけになにもできない宮様というのが表現されていて。小説で(しかも一人称の小説で)、“控えめで美人だけが取り柄”みたいなキャラクターはあまり出すべきではないのかもしれません。“美人を鼻にかけている”とかならそれはそれでキャラが立つんだろうけど。
なんて素敵にジャパネスク 人妻編 4 (4)

 もっと長い話かと思ってたら読み切りで、ちとがっかり。おおざっぱに言うと伏姫と八房のエピソードだけ取り出したような感じです。もっとも、その先をやろうとすると短くても全10巻とかになっちゃうからなあ。まあ、併録短編も佳作揃いなので、まとめて読めるという点ではいいのですが。
 併録のうち、「ビオ・トーヴ」が個人的には気に入りました。おとぎばなしのような世界で、いくさを繰り返す森の国の王女と海の国の王子が出会う話です。たぶんこれは「ケロケロちゃいむ」でもエピソードとして描こうとしていたモチーフですが、やはり(特に「りぼん」という舞台では)描ききれないものでしょうかねえ。
 この作品に関する作者のコメントを、一部引用します。著作権的にはどうかとも思いますが、たぶん多くの人に読まれた方がいいと思うので。

仲の悪い国のことを、自分の国に都合の悪い部分だけ見て嫌いあうのは、現実でもたくさんあってすごく悲しいです。
流される情報にまどわされないで、自分の目で見て判断したいものですね。

シズカ八犬伝

 これはねー。Wikipedia:赤石路代の項目を見てたら単行本が出ていたことを知って、しばらく前の本で探し回るのが面倒だったからはじめてネット通販を使ってみたという記念すべき本です。だからどうした、という話でもありますが。
 ちょうど今日、脳死移植の50例目というニュースが流れましたが、99年の最初の移植例に前後して、心臓移植をテーマのひとつに取り上げた「永遠とわかもしれない」という作品が描かれていました。その、番外編というか外伝的扱いの作品です。本編は小学館の雑誌だったのに、なぜか秋田書店の雑誌で外伝。まあ、「Cheese!」じゃな……。
 こういうのははてなキーワードとかにも書きにくいのでついでに書いておきますが、「少コミCheese!」として創刊した当初は「少コミ」増刊扱いの雑誌でまだ普通だったわけです。そこで、大御所の新連載!という目玉扱いで赤石路代が呼ばれたわけですね。ところが雑誌の方がすぐに、まゆたんチルドレン*2の跳梁するエロ雑誌になってしまって。(最初から片鱗はあったけど、まさかあそこまで急に変わるとは)。推測ですが、「永遠かもしれない」は前記のような扱いだったので、“好きなテーマを好きなだけ描ける”という条件で始まったんじゃないかと思われます。だから途中で止める気にもなれず本来のストーリーを描ききった、のはいいんですが、最後の方は雑誌の雰囲気から浮いてたこと浮いてたこと。ということで、外伝を小学館で描けずそれこそなんでもありの「ボニータ」でやらざるを得なかったんではないかなあ。などと、いろいろ憶測してしまうような1冊です。まあ、熱狂的なファンだからなのかもしれませんが、不遇な作家だよなあ。
 内容では、こすもとまた会えたのもさることながら、九十九代様の登場が嬉しかったなあ。彼女だけで1冊ぐらいのシリーズにはならないだろうか。無理か。外伝ですが(雑誌が違うこともあり)独立して楽しめる構成になっているので、バラエティ豊かな併録の短編3本と合わせて、赤石作品がはじめてという人にお勧めできます。
天の神話地の永遠

 その赤石路代の、ひさしぶりの新作長編。ジュディが産まれる少し前のあるとですね。どういう説明だ。舞台設定を見るだけでも、夏休み明けにはたぶん、とかいろいろ予測ができてしまうのですが、そういう面を含めて、王道を楽しむ作品でしょう。個人的には読みながらのたうち回ってしまうほど“赤石作品のお約束”感覚が嬉しい新作なんですが、他人に勧めづらいのが難点。「天の神話 地の永遠」と違って、ベテラン読者だけが楽しめる1冊かもしれません。
暁のARIA 1 (1)

 まだもう少しあるんだけど、システム不調でブラウザが落ちたりするので今日はこのへんで。はてなダイアリーにバックアップ機能がついてて本当によかった。

*1:読んだのは旧版のイラストだしね……。あれはあれでよかったとは思いますが。

*2:これも説明しておきたいんだけど長くなりそう。簡単に言うと、新條まゆの影響を受けた若手作家ですね。