黙然日記(廃墟)

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本田美奈子.さんについて、ふたたび。

最近、プリキュアマイメロの間は「題名のない音楽会21」を観ることが多いです。クラシックが好きだけど知識がない、ポピュラーの延長で聴いているような人間にとっては、ちょうどいいんですね。
そして、今日は本田美奈子.さんの追悼特集でした。まさにポピュラーとクラシックの垣根を越えて活躍した方で、ありきたりな言い方ですが「これからというところだったのに」という感をあらためて強くします。アイドル、ロック、ミュージカル、クラシックと変遷しながら、独特の発声法を磨き続けていったんですね。正直、滑舌がちょっとあれだし変なところで音程が不安定になるのはアイドル時代から変わらず、ミュージカルやクラシックでは欠点なのでしょうが、ブルースがそうやって生まれたように、ジャンルを超えた『本田美奈子.でしかない音楽』が生まれる直前だった。そんな印象を受けました。
今という時点で観たからそう思ったのかもしれませんが、常に破滅に向かって進み続けてきた、そんな印象もあります。昔の曲では「the cross〜愛の十字架」「HELP」といったあたりが好きなのですが、番組で改めて「1986年のマリリン*1のセルフカヴァーを聴くと、これもいい曲だったと思います。マリリン・モンローと自分を重ねた「1986年〜」は当時物議を醸しましたが、同じ三十代後半という、これからというときに最期を迎えるところまでなぞらなくてもよかったのに。

*1:赤石路代の「マリリンのどこがいいの」という短編はこのころの本田さんをモチーフにして描かれたものですが、セルフプロデュースという概念がなかった(それゆえに叩かれた)当時にそれを指摘した点で注目すべきだと思います。