黙然日記(廃墟)

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いやそれはどうか。

歌田明弘の『地球村の事件簿』: 続「2ちゃんねるの時代は終わった」
http://blog.a-utada.com/chikyu/2005/08/post_82f5.html

 先週から立て続けにネタにして、ちょっと申し訳ないんですが。
 メインの考察はあいかわらず読み応えがあります。ただ最後の段落、2ちゃんねるに「にしむら」名義で書き込まれた文章を西村博之氏のものという前提で語っているのは、ちょっと。もちろん、注意深く読めば断定はしていないし、実際に彼が書いたものかどうかは不問という扱いにはなっていますが。
 まず、ひろゆきがそういうことをするか、という点から。これはかなり疑問です。絶対やらないとはやはり断言できませんが、まあ可能性はかなり低いでしょう。わたしが知っている限り、彼が「にしむら」というハンドルを使ったことはないし、2ちゃんねるに関わる件で「ひろゆき」もしくは「2ちゃんねる管理人」またはそれに準じるハンドル以外を使うこともないはずです。
 それ以上に、2ちゃんねるには“騙り”の伝統があります。あるいは“なりきり”でもこの場合は同じことですが(なりきりには専門の板が複数あるぐらい)、著名人と思わせるように演技しながら書き込み、読む方は半信半疑だったりネタとわかっていたりしつつ、いちおう本物としてリアクションするという、相互に演じつつフィクションを楽しむネタの伝統です。
 掲示板は議論だけの場ではなく、ネタを披露する場でもある。ネタと議論(マジレス)はお互いに絡み合いつつ、虚実の皮膜を行き交うというのが、(それ以前からの伝統を受け継ぎながら)2ちゃんねるに花開いた文化の一つです。
 「嘘を嘘と見抜けなければ(掲示板を利用するのは)難しい」というひろゆきの有名な言葉には、嘘(騙そうとするマジレス)の他に、フィクションという概念も含んでいるのではないでしょうか。