黙然日記(廃墟)

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ゆうきまさみと大亜門。

 引き続き両者を比較してみる。たまたまわたしが単行本を同時に買ったからって理由で比較するのも理不尽かと思いますが。
 「鉄腕バーディー」が「ウルトラマン」へのオマージュであることを、指摘されるまで気付かなかったような記憶がある。ウルトラ世代ではなかったし、旧「バーディー」発表時は宇宙刑事シリーズの人気がピークで、そっちとの類似点に気を取られていたからだ*1。しかし言われてみればたしかに、これは「ウルトラマン」でしかあり得ない。
 指摘されるまで気付かなかった、というところがポイントで、ゆうきまさみはそれだけ元ネタを自分の中で咀嚼してから作品化していたわけだ。「スピンちゃん」にはその要素が見あたらない。
 では、旧「バーディー」と同時期のゆうき作品「究極超人あ〜る」はどうなのか、という反問はありえるだろう。マニアックな元ネタをそのまま出すことで、“ネタのわからなさ”を笑いのネタにする技法は同じではないか、と。しかしこれは、マンガとしてのレベルの問題と言ってしまってかまわないと思う。「あ〜る」は基本的な世界観が作者なりのオリジナリティを持っていて*2、その上に“無関係な、理解されなくてもかまわない”ギャグを積み重ねているのに対して、「スピンちゃん」は“そのギャグで笑えないともう読むところがない”というレベルでしかない。
 ジャンプのギャグ漫画は昔から*3、ジャンプを喜んで読んでいる読者にしか笑えないという自家撞着めいた欠点があったわけだが、そういう意味では正統派なんでしょうなこれは。

*1:宇宙刑事からも多少の影響は受けているのだろうと思う

*2:「あ〜る」の基本設定にアシモフの"I, ROBOT"を指摘することもできるが、それはまた別の問題である。

*3:初期の「キン肉マン」あたりからかな。