黙然日記(廃墟)

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産経と反日カルト。他。

【新聞に喝!】朝日は「宗教的な執念」、産経は「反日思想?」 あまりに不可解な寺社への液体テロ 元東京大学史料編纂所教授・酒井信彦 - 産経ニュース
http://www.sankei.com/column/print/170430/clm1704300007-c.html

 このコラムは外部筆者だし、該当の紙面をチェックするのが面倒なのであまり取り上げませんが、今回はなんだかなと思ったので。
 産経や酒井氏が言うところの《反日》というのが、突き詰めていくとよくわからないもので、「産経に都合の悪いもの」の略ではないかと思えてきます。で、各種宗教団体は各種の(特に既存の)他宗を敵視することが多くて、キリスト教系カルト団体が特に神道を敵視するのも、よくある話です。それは、キリスト教を迫害した国家神道から足を洗えていない現代神道が負うべき宿命でもあります。そういう背景を《反日思想》と産経が表現しているだけでしょう。朝日の言う《宗教的執念》と矛盾しないし、こちらのほうが的確です。
 強調しますが、キリスト教を迫害した国家神道(現代神道)は、キリスト教カルトから見れば邪教なのです。主流キリスト教派と現代神道は共存の道を選んでいることも強調しておきますが、そうした背景への理解は欠かせません。自分たちがユダヤ教と比較すれば「赦しの宗教」として選ばれた存在であると思い込んでいるキリスト教系カルト信者が、邪教の重要施設を清めの油で聖別し、赦そうとすることは考えられます。在来神道や習合しているとはいえいちおう別宗の仏教寺院には迷惑な話ですが、《反日思想》よりはわかりやすい話です。少しの知識と常識的な想像力があれば気づくことなのですが、「アンチ反日」カルトに凝り固まった酒井氏には、それがわからないのでしょうか。もしかして、清めの油の存在も知らない? 
 

産経抄】歴世の「焚書」と変わらぬ愚行…図書館の寄贈書無断廃棄 4月30日 - 産経ニュース
http://www.sankei.com/column/print/170430/clm1704300004-c.html

 サン・ジョルディの日(4月23日)は日本の新学期と関係ないと思いますがさておき、なんだかね。近代日本に発禁・焚書をもたらした治安維持法体制の再現である共謀罪成立を推進する、産経新聞のコラムとも思えません。
 桑原武夫氏の蔵書が、寄贈した図書館から廃棄されたというニュースは残念なものがありますが、好きで本を処分する図書館員はいません。図書館の予算拡充こそを訴えるべき事案です。なにより、桑原氏の「著書を」選択的に処分したなら焚書に等しいですが、「蔵書を」処分するのは別の話です。アーカイヴというのはそれだけで価値があるので、できれば保存したいものですが、1冊1冊の本はほとんど(あるいは全部)、すでに図書館にあるものでしょう。上品な本というのはどこの図書館にもあるもので、下品な本こそ保存する必要があるのですが、桑原氏の蔵書にはそんなものがなかったと推測されます。