黙然日記(廃墟)

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産経「主張」、山田耕筰を歌う。

 うっかり、ブログを書かないで寝てしまうところでした。「書く」という習慣が抜けてしまっている(汗)。

【主張】新安保法成立 戦争抑止の基盤が整った 国民守る日米同盟の強化急げ - 産経ニュース
http://www.sankei.com/column/print/150920/clm1509200002-c.html

 まあ、この戦争法案、いやすでに戦争法制になってしまいましたが、それに関する産経新聞なりの総括なので、いちおう目を通しておきましょう。
 「抑止力の強化が戦争を抑止する」という、よく使われる欲望剥き出しだけどよくよく考えれば翌日までも保たないようなデマゴギーから始まります。「戦前の教訓」を持ち出すのもナントカの一つ覚えみたいですが、軍備をひたすら強化した大日本帝国は戦争を抑止できたでしょうか。これで、遠方の(満洲やホルムズ海峡の)権益を確保するためとか言い出せば完璧です。
 集団的自衛権と国際背補を支援活動をいっしょに言及しているのも、乱暴というより滅茶苦茶な話です。わたしは、自衛隊を解体して国土防衛隊(災害救助など)と国際救助隊(『サンダーバード ARE GO!』の単数形と複数形の混在はどうにかならないのか)に分割すればいいと考えているのですが、こういう考え方をしてみたとき、産経新聞安倍晋三政権の無茶苦茶さがはっきりわかると思います。
集団自衛と国際貢献はまるで違う話で、重なるとしたら「どこかの戦争に武力で参加する」状況しかありません。湾岸戦争時のトラウマがよほどきつかったものと見えますが、感謝広告に名前が出なかっただけで、アジア太平洋戦争で一億人に刻まれたトラウマを上書きできると感じているのが信じられません。
 そして、《日本を共に守る米国との絆を、いかに強いものにしておくか》とか調子のいいことを言っています。産経が言うのは要するに米国に従属せよ、というだけのことでしょう。事実上の同盟国、朝鮮半島有事の際にはがっちり手を組まねばならない大韓民国に対して侮辱的な言説を繰り返し掲載誌、韓国政府から訴えられたり公式にクレームを受けたり*1なんという反日メディアかと思うわけですが。《米国以外の友好国との安保協力》というフレーズが、虚しく響きます。
 《法制に対する国民の理解が深まっていない》というのは、あまり正確ではありません。厳密には「安倍ちゃんがなにを言っているのか、国民にはわからない」。彼個人の説明能力の問題もありますし、上記のように関係ないものを一括りにしている法制そのものの問題もあります。いずれにしろ、いったん引っ込めてわかりやすく再構成して出直すということをしなかった、主権者国民を舐めきった上での強行採決としかいえません。
 出、最後はもちろん「改憲を」です。憲法九条改悪、さらに改憲そのものについて、安倍政権になってから反対する国民が増えていることを、どう考えているのでしょう。認識していないわけではなさそうですがね。
 そして産経「主張」はさっそく、「南シナ海海上自衛隊を派遣しろ」とか言い始めています。先に「遠くの権益」について述べましたが、権益にすらならない場所で(南シナ海はいわゆるシーレーンですが、たとえ全島嶼が中国の正式な領土になってもタンカーの通行はできます)ドンパチ始めたがっているのですから、安倍政権私設応援団産経新聞の闇勢力との繋がりには慄然とするものがあります。
 そして最後に「自衛隊の予算を増やせ」と、見事なオチをつけています。そこまでして、『この道』を歌わせたいのですか。

*1:奇しくも昨年と今年のどちらも、当ブログがさぼっていた時期ですが。昨年のソウル支局長裁判が終わっていないのに、今年ものぐっちこと野口裕之記者がやらかしたようで。