黙然日記(廃墟)

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産経、開戦する。

 4/2分です。

【歴史戦 第1部 河野談話の罪(1)前半】裏付けなき糾弾許した日本外交の事なかれ主義、決別の時(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140401/plc14040109480022-n1.htm

【歴史戦 第1部 河野談話の罪(1)後半】「奴隷狩り」というフィクションから始まった誤解の連鎖、日本攻撃の材料に(1/4ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140401/plc14040113070027-n1.htm

【歴史戦】慰安婦への聴取「儀式」と明記、外務省シナリオ入手 強制性認定のアリバイ(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140402/plc14040207410004-n1.htm

【歴史戦 第1部 河野談話の罪(2)】シナリオの目的は韓国との妥協 「慰安婦」蒸し返され続け崩壊(1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140402/plc14040211490010-n1.htm

 4月1日といえばエイプリルフールでもありますが、年度初めのいろいろ始まる日でもあります。産経新聞は今年度、こんな連載企画を始めました。《今後、日本は事なかれ主義と決別し、砲弾ではなく情報と言葉を駆使して戦う「歴史戦」に立ち向かわなければならない》と高らかに述べています。同盟国相手に戦争を仕掛けるという宣言ですね。2日にも続けているところを見ると、どうやら本気のようですね。
 (1)前半は、河野談話からてはなくクマラスワミ報告書から始まっています。とはいっても、手法はなにも変わっていません。《日本国内のまともな〔註・ここでは右派系のこと〕議論は英語になっていない》という記述が興味を引きます。右派の論客(笑)の皆様は、渡部昇一氏(表向きは英文学者)や古森義久氏(米国特派員)をはじめ、少なくともわたしよりは英語の得意な人が揃っているはずですから、発信する努力を怠ってきたとしか言いようがありません。あるいは、英語を書けるていどの知能がある人には、右派の議論が内輪の論理でしか成り立っていないことがわかっていたのかもしれませんが。(そういえば、古森氏が海外の掲示板でフルボッコにされているのを見た記憶もありますねえ)。ようやく彼らが発信したのが例の「THE FACTS」で、世界中の笑いものにされたのも記憶に鮮やかなところです。あとどうでもいいけど《(敬称略)》になっていますが、名前が出てくるのはサヨクの人たちばかりで、右派は「外交筋」とかそんな表現ばかりです。ラディカ・クマーラスワーミー氏や鳩山由紀夫氏らを呼び捨てにするための処理じゃないのか。
 (1)後半は、吉田清治氏の著書から2007年の米下院決議まで、従軍慰安婦問題を産経視点から俯瞰する内容になっています。どうせ産経視点ですから文句つけてもしかたないんですが、こうして見てみれば、河野談話以外にも産経が問題にすべき歴史的事件は多数あるわけで、この連載を含めて、なぜ河野談話にここまでこだわるのかわからなくなりますね。秦郁彦氏が、クマーラスワーミー氏に言ったことが報告書にぜんぜん反映されていない、あれは落第点だ、とか面白いことを言っているのですが、秦氏が相手にされないようなことを言っただけではないですか。
 番号のついていない記事は、また「外務省の内部文書を入手した」というもの(無署名)。(2)へのイントロですね。この記事およびその(2)で紹介されている「シナリオ」の中身は、いかにも産経の河野談話批判に都合がよくて、本当にこんなものが存在するのか疑ってしまいます。昨年10月から1月、4月と、いいテンポで重要資料を産経が入手しているのも不思議ですね。7月1日にはまた“重要証拠”が見つかりそうです。4月1日に発表しなかったのは、さすがに批判を恐れてのことでしょうか。
 とにかくこんな調子でしばらく続けるらしいので、ウォッチャーとしてはなかなか負担である反面、ネタ切れの心配がないという自体になりました。喜ぶべきでしょうか。