黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経記者の保護法弁護。

【酒井充の政界××話】欺瞞とご都合主義に満ちた特定秘密保護法への批判+(1/5ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131208/plc13120818010008-n1.htm

 9日分ですが新聞休刊日なので、8日付電子版の記事から。
 戦争は、どんな美辞麗句で飾ろうとも、自国民と他国民を殺す行為に変わりはありません。国民主権国家に国民を殺す権利があるのかはまた別に議論が必要ですが、特定秘密保護法が戦争ができる国家への第一歩だとしたら、「この法案で俺たちが殺される」という若者の叫びに合理性はあります。一方で、反対派の一部が声高に叫んでいるほど、国民生活に影響のある法律ではありません。しかし、しかし、知る権利をはじめ基本的人権が制限されていくことで、真綿で首を秘めるように国家は転落への道を歩んでいくことは、いくら指摘しても足りません。
 酒井記者は、反対派のジャーナリストが「この法案に反対しない記者は記者ではない」と言うのに対し、《自分たちの自由を求める割には、他人には実に厳しい人たちだ》と子供のような反発をしていますが、「自分たち」と「他人」の区別がついていないと言わざるを得ません。酒井記者自身が認めているように、この法律の問題点は官僚による恣意的な「秘密」の運用が可能な点で、それをこそ国民が監視しなければならないのにその手段が奪われる、という、トートロジー的な恐怖にあります。それに比べたら、人権擁護法案の方がまだましでしょう。「決められない政治」批判から今回の拙速な強行採決への批判に転じたことも問題視していますが、明らかに議論を軽視した横暴な裁決が批判されるのは当然で、言い逃れにもほどがあります。「監視されない権力は必ず暴走する」という前提で権力監視をジャーナリズムの使命とする朝日新聞を批判しているに至っては、いったい産経新聞は、少なくとも酒井充記者は、ジャーナリズムというものをなんだと心得ているのか、怖気が来ます。自民党の広報機関でしょうか。自ら挙げている「権力の監視」の例が民主党政権時代のものばかりで、《日本の独立と平和、国民の生命と財産をしっかり守る権力なのかどうか》を監視したと威張る姿は、滑稽であると同時に吐き気さえ催します。
 全体に、法案反対派のメディア、特に朝日新聞を槍玉に挙げて矛盾した姿勢だと批判しているのですが、産経新聞はたしかに一貫していますよね。自民党特に安倍晋三氏の意のままに動くこと、国家が国民を統制することへの翼賛姿勢において。