黙然日記(廃墟)

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産経湯浅記者のシリア内戦観。

【日曜に書く】論説委員・湯浅博 「ミュンヘンの教訓」が消えた - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130915/amr13091503130001-n1.htm

 シリア内戦は中国の利益になるそうです。まったく意味がわかりません。ミュンヘン会議(ナチス・ドイツチェコの部分割譲を認め、チェコ侵略を招いた)の弱腰外交への教訓はベトナムイラクで忘れ去られたのか、と言いますが、直近の教訓が生きるのは当たり前でしょう。状況はどう考えても「イラクの教訓」に近いのです。米国オバマ政権が議会の承認を得るのに手間取っている隙をついてロシアが仲介案を出したのは姑息だ、みたいな言い方も、なんだかなあと思います。ロシアの外交的勝利ではあるでしょうが(この先の展開を見極めないと断言はできませんが)、なにか姑息なやり方だと言える部分があったでしょうか。《シリアの化学兵器も含めて兵器は大半がロシア製》というのは、どういう根拠があって言っているのでしょうか。場合によってはかなりの問題になるかと思います。
 米国が不利益になりロシアが外交的利益を得ると中国がほくそ笑む、という理屈もよくわかりません。さらにそれが、アジア太平洋地域の安定に影響を及ぼす、日本は集団的自衛権を容認して日米同盟に軍事協力せよ結論は、いつもの産経三段跳びとはいえ、目を白黒させてしまいます。湯浅記者が、散歩のエッセイを書いているときはいいのですが、国際政治を論じ始めるといつもこんなことになってしまうので、読むのが怖いです。