黙然日記(廃墟)

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産経元論説委員長の軍事観。

【日曜に書く】論説委員・中静敬一郎 軍事忌避する「奇妙な国」考 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130825/plc13082503200006-n1.htm

 6月まで論説委員長を務め産経新聞の論説をリードしていた中静記者です。今でも産経の路線はあまり変わっていませんが。中静記者は特別記者になったはずですが、今回の肩書きは論説委員ですね。
 日本において「軍が悪い」と教えることは「旧日本軍は悪い」と教えることです。国を乗っ取り国策を誤らせた旧軍について、弁明ができるものならしてみなさい。だから新生日本は「軍を持たない」と誓いました。それでどこまで通用するか、という実験でもあったわけですが、67年後にいたっても、いまのところ実験は成功しています。中静記者の言うように「軍事について考えない」のではなく、考えているからこそ軍事を拒否しているのです。
 沖縄・尖閣諸島の問題を中静記者は《未曾有の危難》と表現していますが、前例はちゃんとあります。北方領土ソ連に占拠されたことは、現在の尖閣諸島にはるかに勝危難でしょう。なぜ産経記者は北方領土問題を無視するのでしょうか。北方領土占領は軍事力の空白につけ込まれたかたちですが、軍事力があれば対抗できたという問題でもありません。またこの領土問題の解決には粘り強い平和交渉しかないことは自明で、軍事力は一切関係ありません。
 山田宏氏(元日本創新党、現日本維新の会)が杉並区長時代、自衛隊員が軍服で区役所に来なかったことに不満を呈しているという記述は、面白いですね。中静記者が論説委員長時代の産経新聞が、自衛隊員が軍服姿で区役所を訪れた際に立ち入り拒否されたという虚報を流したことがありましたが、この虚報事件を想起させる話です。山田市との意見の一致がこうした虚報の背景にあったのではないか、と思わせますね。