黙然日記(廃墟)

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産経佐々木記者の恐怖心。他。

【土・日曜日に書く】ワシントン支局長・佐々木類 腐敗と人権抑圧を攻めよ - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121202/plc12120203400003-n1.htm

 中国を、腐敗と人権抑圧について攻撃しろという結論自体は正しいものです。ただその過程が、中国脅威論を通り越して中国恐怖論に陥っているのが、佐々木記者ならではでしょうね。
 「ゆでガエル」のたとえ話は都市伝説だと聞いたことがありますが、わたしも試していないので断言はしません。ただもうちょっと、たとえ話であることを強調してもいいんじゃないかな、と思うだけです。中国の恐怖をそうやってたとえているのですが、恐怖心にがんじがらめになっているのは佐々木記者の方のようです。《中国を世界の中心とした華夷秩序への従属を日本に迫る、思い上がった覇権戦略が根底にあるからだ》とか《ゲームブックを一枚一枚めくり、日本の出方をうかがう中国はどこまでもしたたかだ》とか*1、まさに《後先考えず威勢のいいことを言うのは無責任で楽だ》といったところではないでしょうか。中国の一部メディアが掲載した過激なナショナリズム的言説に失笑を禁じ得なかったそうですが、産経新聞に掲載される威勢のいい論説に失笑しているのは相手国と、日本国の心ある人々すべてです。そうした相対的視点も持ち合わせない人物が、海外総局・支局の中で最重要とされるワシントン支局長なのですから、産経新聞の将来は暗いと言わざるを得ません。ワシントン支局にはもっとやっかいな人物も存在していますがね。
 産経「正論」欄でおなじみの古田博司氏による、中国共産党は対日戦を経験していないからことさらに反日を強調するのだという《喝破》を持ち上げたり、「宣伝戦」や「心理戦」を共産党用語と決めつけたり(出自はどうでも、いまや一般的な言葉です)、最初は冷静さを装っていた文章が後半に行くに従っておかしくなっていきます。まあ、一見の価値はありますか。

【主張】上院の尖閣条項 自ら守ってこそ米支援だ - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121202/plc12120203160001-n1.htm

 その問題のあるワシントン支局の某氏のごとく、対米追従極まれりといった産経「主張」です。ここは「たいべいついじゅう」ではなく「ついしょう」と読んでください。「お追従」の「ついしょう」です。「基地を提供するかわりに防衛は米国に任せる」という独立国同士が対等の立場に立つのが日米安保条約の精神です。日米同盟の基本が安保条約だというのなら、このことは忘れないでください。

*1:ゲームブック」って懐かしいですね。どういう意味で佐々木記者が使っているのかわかりませんが。